ベストセラーで読むアメリカ

2018年10月5日

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■今回の一冊■
Unhinged
著者 Omarosa Manigault Newman
出版 Gallery Books

1月に辞任したオマロサ・マニゴールト・ニューマン元大統領補佐官(写真:ロイター/アフロ)

トランプのお気に入りだった
元大統領補佐官による暴露本

 またまたトランプ政権の内幕を暴露するノンフィクションだ。しかし、本コラムでも取り上げてきた先行する類書にはない大きな魅力が本書にはある。まず、書いたのはプロのジャーナリストではない。大統領補佐官を今年1月に辞任したオマロサという名のアフリカ系アメリカ人の女性だ。ジャーナリストが関係者に取材して書いたのではなく、政権内部でトランプ大統領を間近でみてきた経験をもとに書いてる。しかも、オマロサはドナルド・トランプのお気に入りだった。それだけにディテールや迫力、面白さが違う。裏付けの取材がいらないし客観的に書く必要もないからだ。例えば、次のようにズバリ言い切る。

 I realized that something real and serious was going on in Donald's brain. His mental decline could not be denied.

 「間違いなく何か深刻なことがドナルドの脳で進行していることを、わたしは悟った。トランプがボケつつあることはまぎれもなかった」

 Trump's greatest character flaw is his total lack of empathy, which is itself a function of his extreme narcissism.

 「トランプの人格上の最大の欠陥は、他人への思いやりが全くないということだ。これは極端なナルシシズムの裏返しでもある」

 Trump has an affinity for pretty women. He'd rather have a pretty woman with no experience around than a qualified, less-attractive woman.

 「トランプはきれいな女性を特に好む。実力があるものの美しくない女性を部下に持つより、能力が足りなくても美しければそばにおきたがる」

 しかも、このオマロサという人物は、トランプが制作し司会も務めたテレビ番組「アプレンティス(実習生)」の一番最初のシーズンに出演したのを機に、悪役のテレビタレントとして一躍有名になった経歴をもつ。そうした知名度の高さも手伝って、本書はニューヨーク・タイムズ紙の週間ベストセラーリスト(単行本ノンフィクション部門)で9月2日付に1位で初登場した。ランキング入り6週目となった10月7日付リストでも12位につけた。

 トランプのおかげで世に出て、その縁でトランプの選挙陣営にも加わり、そのままホワイトハウス入りした。テレビ番組で一緒に仕事をしていた時から数えると14年にわたりトランプと交流をもってきた。まさに、トランプが最も信頼を寄せていた腹心だった。

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