家電口論

2018年10月27日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

 シーテック ジャパン2018で「コンビニの未来像」を展示したローソン。すごい人だかりでした。AIがお客を見て、お客に良さそうな商品を勧めたり、レジが無人だったりと、パッと見、省人化であまり人間が活躍する余地がなさそうです。しかし、ローソンの竹増貞信社長が行った基調講演によると、この未来の姿は「社会インフラ」としてのコンビニの役割を推し進めた、人を活かすためのコンビニでした。展示に問題があるようにも思いますが、決して、効率化を推し進めた「無人」コンビニを目指したものではありませんでした。

(BestForLater91/Gettyimages)

阪神・淡路大震災の時、社会に影響を与えたローソン

 1995年に起こった阪神・淡路大震災。大変な被害でした。私は、その一週間後、商用で乗った新幹線の窓から、焼け焦げとブルーシートに包まれた街並みを見ましたが、「何と言うこと」と思いました。すごい脱力感に見まわれた覚えがあります。

 そんな中、流通で頑張ったのがダイエーと当時子会社のローソン。できる限り、灯りを絶やさず、定価販売を続けたと言います。キャッチフレーズの「開いています。あなたのローソン」を地で行くような奮闘ぶりだったそうです。

 当時のダイエー社長 中内氏の英断でもありますが、盗み、便乗値上げなどが起きやすい環境下、人としてこうあるべきという行動は素晴らしく、今も語り継がれています。東日本大震災でも流通が、速く、的確なサポートができた理由の一つに、この実績があります。

コンビニネイティブの世代の心象風景

 天災で、24時間営業以外に社会への役割を再認識したローソンですが、社会はどんどん変化します。小売業で勝ち組となったコンビニは店舗数をどんどん増やします。

 そのような状態になって数十年。商店街はさびれても、コンビニだけはある状態が今です。昔の中学生は、商店街でコロッケなどを買っていたわけですが、今ドキの中学生は、コンビニで肉まんなどを買って食べます。その他、何でもコンビニ。今の若者はコンビニネイティブ世代です。

 竹増氏は、お子さんがコンビニネイティブ世代ということもあり、お子さんの友達に、「どこのコンビニに行くのか」と尋ねたことがあるそうです。答えの多くは「近く」のコンビニ。当たり前ですよね。なんたって「コンビニエンス」ですから。

 しかし、中に、「遠いのだが決めたコンビニに行く」という子どもがいました。理由を聞くと、「そこでずっと買ってきて、いつもいる店員がいろいろ声をかけてくれる」というのです。

 昔は、「駄菓子屋」が、「商店街」が、いろいろ声をかけてくれました。しかし、「コンビニ」もそうなっている場合もあるわけです。

「サービス存在確率」という考え

 話しは飛びますが、「コンビニと歯医者さん、どちらが多いでしょうか?」という、有名な問いかけがあります。

 答えは「歯医者さん」で、ビックリというのがオチです。

 これを「サービス存在確率」で見ると、割とすんなり飲み込めます。「サービス存在確率」というのは、どの位の人口に対し、そのサービスが存在するかということで、存在確率:50%、80%の時の人口で目安を付けます。世の中を見直す時のポイントでもあります。

 国土交通省がいろいろな分野から資料をもらい、まとめた図がネットに掲載されています。

 例えば、大学だと17万5000人で50%、32万5000人で80%です。(以下、50%、80%の順)。これとほぼ同じなのが、スターバックスと映画館。17万5000人と27万5000人。なるほど、スタバがあるとそれなりの都会というわけです。

 一般病院が7500人、2万7500人。銀行が6500人、9500人。このサービスが1万人規模です。喫茶店が2500人、7500人。書籍・文具小売業が1500人、2500人。この当たりが1000人規模。郵便局、クリニックが500人、歯科は500人、3500人だそうです。

 そんな中、コンビニ商圏は2000人だそうです。

 歯科より、人数は多いですが、規模が小さいだけに、大型スーパーのような人数がいる立地を必要としません。逆に、町に最後まで残る可能性がある小売はコンビニの可能性が高いわけです。となると、いろいろな社会プラットホームの役割を負ってもいいわけですし、一歩進んで考えると、そうあるべきです。

 今行っているATMサービスなども、銀行サービス存在確率から考えるとよくわかります。

コンビニ=コミュニケーションがとれる場所

 コンビニの建坪は、基本30坪(100m2)が基本で、これより狭いと基本的な品数を減さなければなりません。それ以上の坪数のところで積極的にとられている手法が「イート・イン」です。

 私の住んでいるところも、イート・イン形式を採用しているところがありますが、学生がしょっちゅう話し込んでいます。ファミレスより安く、お手軽なところがミソです。

 また、モノを食べながらだと舌が回ることが多いですからね。昔の駄菓子屋が、子どもの社交場と言われたようなものです。

コンビニで社会問題を解決

 今から、日本は、超高齢者社会を迎えます。高齢者と言っても元気なのですが、昔と違うのは、人とのつながりが少ないことです。なんせ、単身世帯がすごーく多くなります。こんな時、ありがちなのが、引きこもり。人が怖いというわけではありません。外に出てもすることがないし、話し相手もいない…。それを繰り返すと、どんなに健康な人でも「鬱」の気が混じってきます。

 また、一人だとだんだん健康に気を配らなくなりますし、食事に無頓着になることもあります。竹増氏は、これらのことを最新のデジタル技術と、店員の「お・も・て・な・し」で解決できないかと考えております。

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