お薦めはボストン公共放送WBUR(http://www.wbur.org/)と Voice of America(http://www.voanews.com/)。いずれも生放送やストリーミングをインターネットで聞くことができる。特に公共放送は主要ニュースがコンパクトにまとまっており、非常にきれいな英語でアナウンスされるので、リスニングや発音練習の格好のお手本になる。アメリカには優れた公共放送が多く、いずれもしっかりしたウェブサイトを持っている。
余談だが、ニューヨーク・タイムズといえば、20世紀の重大ニュースを集めた「PAGE ONE」という本があることも教えてもらい、早速、アマゾンで購入した。日本流にいえば、いわば100年間の縮刷版で、歴史の節目になったニュースを報じた日のニューヨーク・タイムズの1面を集めた本。アメリカの20世紀の動きを知る上で非常に参考になる1冊だ。ひときわ大きな活字が踊っていたのが、アポロ宇宙船が月面着陸したことを報じる1969年7月21日付の「Men walk on moon」 という1面だ。
日本でも多くの人が熱狂した月面着陸が当時のアメリカでは世紀の関心事だったことがよくわかる。このほか、太平洋戦争でのドイツや日本の降伏を伝える紙面、ケネディ大統領の暗殺、ウォーターゲート事件でのニクソン大統領の辞任など大統領がらみの記事も多い。本は2000年1月1日付の1面を紹介して終わっているが、こうした本に出会えるのもアメリカならではと思う。先にも述べたアメリカを騒がしてる米債務問題や国債の格下げなどもこうして歴史の一として記録されてゆくのだろう。
日本人が弱いスピーキングの学習法とは
英語の授業に話を戻すと、生きた話し言葉を学ぶには映画の効用が大きいということも教えられた。実際に日常生活ではどんな英語が話されているのか、アメリカを深く知るにはどんな文化的な背景を理解しないといけないのか、先生はそうしたことを考えながらアメリカ映画を見ることが大事だと強調する。実際に授業では大学のシアターで2回映画を見た。1つは「My cousin Vinny 」(1992年)、もう1つは「Good Will Hunting」(1997年)。いずれも日本でも公開されたようだが、私は見たことがなく、興味深く見入った。
「My cousin Vinny」は地方の法廷での攻防を題材にしたコメディ映画で、アラバマ州を舞台に弁護士が無実の殺人嫌疑をかけられた2人の大学生を弁護する話。「ステレオタイプの南部像を描いている」と指摘するアメリカ人もいるが、映画を見ると、アメリカ南部というのは独特の雰囲気を持っていることがわかる。映画と直接関係ないが、ニューヨーク出身の先生が言うには、女性が女性に向けて親愛の情を込めて「ダーリン」と呼びかけるのは主に南部に見られる傾向で、ニューヨーク出身の人はそうは言わないそうだ。
一方、「Good Will Hunting」は天才的な能力を持ちながら幼い頃に虐待された家庭環境が影響して、ビル解体などの仕事についている若者の話。仕事先のマサチューセッツ工科大学(MIT)で、高名な数学の先生が学生に出していた難解な数学の問題をすらすらと解いてしまったことから才能を見いだされ、自らも徐々に自覚してゆくストーリーだ。ハーバードやMITなどボストン周辺の風景を紹介するシーンがふんだんに紹介され、そういう意味でも親近感を持って映画をみた。
映画をただ見るだけでなく、インターネットを使ったより効果的な学習法も教えてもらった。