このところアメリカのテレビや新聞では、政府の債務問題によるデフォルト危機と格下げ、そして経済悪化懸念の報道一色。外国人の目からみると、アメリカの国内政治の機能不全が経済に波及し、自分で自分の首をしめて、世界経済を悪くしてしまっている感じがどうみても強いのだが、こんなアメリカに翻弄されるマーケットの関係者にしてみれば「アメリカ、ふざけんなよ」と愚痴の1つも言いたくなるだろう。
ただ、この問題はアメリカ人自身もさすがに真剣に受け止めているようで、普通のアメリカ人が普段あまり関心を寄せているとは思えない経済の話を、朝や夕方のニュースショーではかなりの時間を割いて展開している。ごく普通の人々も「トリプルA」や「格下げ」の意味がよくわからなくても、最近の動きは失業や自分の懐につながりかねないということで、経済ニュースに大きな関心をもっているようだ。
野党共和党の来年の大統領選候補者と目されている政治家も、地方のタウンミーティングなどで「ダウングレードされるとみなさんの金利が上がるかもしれません」とテレビで解説しているようなことをそのまま民衆に向かって演説している。
我が夏期講習の英語の先生も、
「格下げって私にも中身はよくわからないけれど、みんな気にしているみたい。オバマがやることはこれまで全然うまく行っていないから、このままゆくと、来年の大統領選挙でオバマは再選されないかもしれない」
と話す。
体験的英語学習法のススメ
世間が経済の話題で盛り上がっている一方で、私は相変わらず英語の夏期講習に通う日々を送っている。私の指導をしてくれる先生は、地元の大学などで英文学を教えている女性教授。年齢不詳だが、授業で「1970年代にこの国で学生時代を過ごした」と話していていたので実際には50歳代半ばぐらい。社会経験を積んだ年かさの学生を指導した経験が豊富なだけに、その授業は違和感なく受け入れられる。
指導を受けて非常に参考になったのはワシントンポストやニューヨーク・タイムズなどアメリカの一流紙を読むようにという助言だった。先生によると、これらの新聞のレベルはアメリカ人からみても優れた英語で、ボキャブラリーの増強には非常に有用だという。それぞれ独自の論調はあるが、記事の内容はしっかりしている。地下鉄の駅などで無料配布している広告だらけのフリーペーパーとは全く違う。私も授業の「ニュース紹介」の時間にワシントンポストやニューヨーク・タイムズから記事を多く引用したが、読みごたえのある記事ばかりだった。さらに、先生からはラジオのニュースを聞くことが大切なことも教えられた。
(ハーバード大留学生に薦めるラジオ番組は次ページ)