アメリカの古い映画はインターネットでスクリプトを公開しているものが多く、それをみながら台詞の英語表現をチェックすることもできる。これまた英語の学習には非常に有効だと実感した。
終了後に、先生から「この映画は何を意味しているのか、思ったことをショートエッセイにして提出するように」という課題が出た。私は「能力のある人はどんな境遇であっても見いだされるのがアメリカであり、またそれを探そうとする人もいる。またそうした人を探そうとする善意=Good Will がこの社会にはある」という趣旨の文章を書いたら、「良い考え方だ」という評価をもらった。
子ども無料の野外クラシックコンサート
7月末の休日、ボストンから車を2時間ほど走らせてマサチューセッツ州西部のレノックスという町で開かれている「タングルウッド」音楽祭に妻と行ってきた。ボストン交響楽団などが夏の間、ここに拠点を移して野外音楽場でコンサートを行う場所として世界的に知られている。緑に囲まれた広大な土地に音楽場はあり、観客は席と屋根のついた「シェッド」と芝生席の「ローン」を選べるのだが、我々は芝生席を選んで野外でクラシックコンサートを聞いた。
日本ではクラシックコンサートなんて行ったこともないし、高いチケットを買う経済的な余裕もないが、タングルウッドは芝生席なら大人で19ドル。17歳以下の子供は無料だ。昼過ぎに到着し、芝生の上に座って持参した弁当を食べるとピクニックに来たようなすがすがしい気分になった。周囲には日よけのパラソルと椅子を持参してのんびりワインの杯を傾けている老夫婦なども多く、雰囲気は最高。それでも午後2時半の開演のベルが鳴るとそれまでおしゃべりに興じていた人たちも話をやめ、静寂が広がった後に聞こえてくるオーケストラの音色に耳を傾けていた。
タングルウッドという名前は、バイオリニストの五嶋みどりさんが14歳の時に、ボストン交響楽団と共演したコンサートでバイオリンの弦を2回切りながらも動揺せず、最後まで演奏を続けた1986年7月の「タングルウッドの奇跡」というニュースで記憶していた。オーケストラのいるステージを近くで見た時には感慨深かかった。
当時の様子はニューヨーク・タイムズが「GIRL, 14, CONQUERS TANGLEWOOD WITH 3 VIOLINS」との見出しで報じて絶賛し、今でもその抜粋をウェブで読むことができる。Youtube では当日の演奏も見ることができ、演奏終了後に指揮者のレナード・バーンスタイン氏がみどりさんを抱きしめて称える様子は感動的だ。会場の近くには、ボストン交響楽団の音楽監督をつとめた小沢征爾氏の功績を称えて作られた「 Seiji Ozawa Concert Hall 」 があり、こちらも訪ねてみた。タングルウッドの滞在時間は数時間だったが、日本にもゆかりのあるそうした場所に足を運べたことは良い経験となった。
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