ネット炎上のかけらを拾いに

2019年1月15日

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 被害者が謝罪し、ワイドショーはセクハラシーンをそのまま使う不思議の国ニッポン。

*画像はイメージです(triocean/iStock/Getty Images Plus)

いっそ支配人制度をやめてはいかがか

 日本のアイドルが謝罪した。「2人の男に襲撃された」ことを理由に――。海外ではそう報じられたNGT48メンバーの暴行事件。この騒動の恐ろしさは、メンバーがネット上で告発を行わなければ、暴行事件も運営の未熟な対応も明るみに出なかったことだろう。命がけの告発だった。

 暴行事件が起こったのは12月8日。加害者は逮捕されたが、不起訴になり釈放。この時点で、アイドルが事件に巻き込まれたという報道は行われなかった。年が明けた1月8日、被害に遭ったメンバーが動画を配信。続けてツイッターでも思いを綴った。自宅玄関前で被害に遭ったことや、運営側が対応を行わないことについての生々しい告発だった。これを受け、NHKが暴行事件を報じた。

 報道後も運営側の動きは非常に鈍く、ようやく記者会見が行われたのが1月14日。問題を指摘され、ネット上では辞任を求める署名活動も行われていた支配人については「人事異動」と発表された。

 騒動を説明するための会見に登場したのは、AKS運営責任者兼取締役の男性、新しくNGT48の支配人となった女性、副支配人となった男性の3人だった。事件が起こった際に支配人を務めていた今村悦郎元支配人は姿を見せなかった。

 会見に出てきた3人の謝罪は、どこかひとごとに見えた。メインで喋ったのは責任者兼取締役の松村匠氏。松村氏は「お詫び申し上げます」「誠に申し訳ございません」と繰り返したが、今村元支配人については「人事異動」、新たに女性支配人が就任するのは「女性ということで女性の立場を理解し」ているから、把握している情報については「警察の捜査内容に関わることですので差し控えさせていただきたい」。<※参考:AKS運営責任者&新支配人による質疑応答全文/モデルプレス/1月14日>https://mdpr.jp/news/detail/1815814

 ネット上で散々指摘されている、「なぜ今村元支配人が説明や謝罪を行わないのか」に向き合おうとしたフシがない。会見からわかるのは、今村元支配人をかばわざるを得ない何らかの事情があるのだろうということだけだ。

 被害者を黙らせようとした構造の解明が求められている場に柄シャツ柄ネクタイでのこのこと登場し、「説明しない」態度で押し切った。女性を支配人に据えるような小手先のパフォーマンスが通じると思っているなら、ファンや視聴者を完全に舐めている。表舞台に出るメンバーへのリスペクトやファンへの感謝なく、「支配人」が劇場運営やメンバーを文字通り「支配」したがるような構造だったなら、いっそその気持ちの悪い支配人制度をやめたらどうなのか。

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