WEDGE REPORT

サイバー戦争に勝てるか 日本人ハッカー養成現場
WEDGE10月号フリー記事

Wedge編集部

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ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 一方、日本人チームの「sutegoma2」が決勝進出に至るまでの道のりは長かった。チームは20代、30代の約20人。福森氏が「sutegoma2」に参加するようになった3年前は、世界と互角に戦えるレベルではなかった。「CTFって何?」というメンバーが、福森氏らが出す課題を解くことから始まり、各地のCTFに参加して経験を積みながらチーム全体のレベルアップを図ってきた。

 結果は残念ながら最下位であったが、日本人チームが世界最高峰の大会に進出した意義は大きい。しかし福森氏は、

 「世界のレベルを知るよい経験ができたが、結果には決して満足はしていない」

米ラスベガスから帰国して取材に応じる福森大喜氏。自身が執筆するブログ(http://blog.f-secure.jp/archives/50623876.html)でも決勝の様子を紹介している。

 と話す。すでに磨かれたダイヤモンドのように輝き始めた日本人もいれば、「原石」を日本国内で発掘し、磨きをかける取り組みも行われている。

 8月10日、大阪市内のホテルに全国各地から60人の若者が集結した。下は中学2年生から上は大学4年生まで。女性は5人。彼らは独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する「セキュリティ&プログラミングキャンプ2011」に参加するためにやってきた。このキャンプは2004年より毎年開催されており、その目的は高度なIT人材の早期発掘と育成だ。

「虎の穴」で鍛えられる若者たち

 60人は5つのクラスに分かれて、4泊5日の合宿形式でセキュリティ会社などの第一線で活躍する講師陣26人の指導を受ける。講師陣のなかには、世界中で利用されるプログラミング言語「Ruby」の開発者まつもとゆきひろ氏も加わっている。各クラスでは2~5人ほどのキャンプ卒業生がチューターとして付き、生徒2人に指導者1人という贅沢な環境で知識と技を伝授する。

 スケジュールもかなりハードだ。朝6時半に起床し、朝食を済ませたらすぐに授業開始。8時半から昼食と夕食をはさんで夜10時ごろまで講義と演習が繰り返される。キャンプの責任者であるIPA産学連携推進センター次長の神島万喜也氏は、就業経験のない若者を一流の講師陣が指導する意義を次のように説明する。

 「日本を引っ張っていく潜在能力をもつ若者はまだ世の中に埋もれている。彼らを見つけ出し、ノビシロがあるうちに尖った人材に育てる。普通の人間が教えても意味がない。天才が天才を育てる」

 集結した60人はただ者ではない。提出された応募用紙を講師陣が審査し、通過した者だけがキャンプに参加できる。応募用紙の設問の中には自作したソフトウェアの提出を求めるものまである。倍率はおよそ5倍。講師陣は一室に閉じこもり、審査に丸一日費やしたという。「参加できること」自体が、磨けば輝く「ダイヤの原石」であることの証なのだ。 参加者の中でひときわ注目されたのが、最年少の浅野大我君(13歳)だ。

→次ページ 13歳の天才の正体は?

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