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2011年10月25日

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大坪正則 (おおつぼ・まさのり)

帝京大学経済学部教授。1947年生まれ。70年伊藤忠商事入社。情報通信総合企画室などを経て88年NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。近著に『パ・リーグがプロ野球を変える 6球団に学ぶ経営戦略』(朝日新書)。

横浜の身売り話がささやかれる一方で、
ポストシーズンと呼ばれる1カ月がはじまるプロ野球界。
なぜ横浜ほどの市場規模がありながら球団経営が赤字なのか。
プロ野球をスポーツビジネスとして捉えたとき、日本球界はまだまだ未成熟だ。
クライマックス・シリーズから日本シリーズに続くこの1カ月間のポストシーズンを
いかに収益化していくかが、今後のプロ野球改革の最重要ポイントである。 

 今年も日本プロ野球のポストシーズンがまもなくスタートする。元来、クライマックス・シリーズ(CS)と日本シリーズが行われるこの1カ月間は、日本のプロ野球(日本野球機構、以下NPB)のビジネスにとって最も大切な期間である。だが、実態は理想と掛け離れ、さらにはレギュラーシーズンの勝者を重視する一部の人からは「CSはやめるべし」との声も聞こえてくる。そのような考えには賛成できない。むしろ、CSの試合をもっと増やすべきだ。

ポストシーズンは面のビジネス

球団収支 (編集部作成)
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 プロスポーツリーグを構成する球団の収支は、図表にある主な勘定項目の増減の結果として表われる。収支を整えるには地方市場、即ち「点のビジネス」と全国市場、即ち「面のビジネス」の両立を図り、そして両市場から得た収入の範囲以内に支出を抑えなければならない。

 地方市場とは、フランチャイズ制の下で各球団に与えられた地域独占営業区域を指し、この地域ではチケットと球場内物品が販売される。球団が販売を独占するので、1人のオーナー対多数のファンの関係となり、オーナーによる「売り手市場」が形成される。

 そして、テレビの電波は、フランチャイズ地域を越え、全国津々浦々、さらには全世界に届くので、全国市場を形成した。しかもテレビは、全国市場で販売・展開されるマーチャンダイジング(商品化)とスポンサーシップを牽引する。全国市場の管理は個別球団が行うよりもコミッショナー(または、1人の人物)に任せる方が効率が良い。ここでもコミッショナー1人に対して多数の契約候補者の関係になるので、「売り手市場」が形成されることになる。

 プロスポーツリーグは地方市場と全国市場をそれぞれ1人の「売り手」の管理下に置くことができる。ビジネスの上で、これほどの理想的形態はない。

 NPBの最大の問題は、そのビジネスが全国市場に広がらず、地方市場に留まっていることにある。

 日本では、1959年に後楽園球場で巨人対阪神の天覧試合が行われ、NPB人気を確固たるものにする一方、テレビ放送権が試合主催者である球団の管理下に置かれることになった。以来、一貫して巨人戦だけが地上波で全国放送されてきた。交流戦開催前までを例に取ると、各チームの年間ホーム試合数が70ならば、巨人に70試合分の、そして巨人以外のセ・リーグ球団に14試合分の放送権利料が入った。巨人との試合が無いパ・リーグ球団はセ・リーグ球団と比較して放送権利料収入が極端に少なかった。

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