<短期連載>ペット業界の舞台裏

2011年12月16日

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 ペットブームという言葉と共に、ペットや伴侶動物などと呼ばれる生きものたちとの生活が身近になっています。生きている商品を展示して販売(生体販売)するショップや大型店舗のコーナーは、休日ともなると相変わらずの盛況ぶりを見せています。

 一方、今年は5年に1度の“動物の愛護及び管理に関する法律(以下動愛法)”の改正年とあって、沢山の動物愛護団体や動物に関わる仕事を生業としている人間たちが改正の内容に関して意見を戦わせています。前者は生きものの尊厳について勝ち取るため。後者の一部は自らの商売に支障となる部分を盛り込ませないために。

 この法律は人と関わる多種の動物達が対象なのですが、今回の改正案の内容では動物取扱業の適正化に関して大きく取り上げられています。

 “動物取扱業の適正化”。まるで業者は適正に商売をしていないような印象を受けてしまいますが、何が原因でこの問題がメインに扱われているのでしょうか。実はメディアで取り上げられるようになった一部業者の商売方法や、命を物として扱う既存の業界の一部の体制が社会一般の常識から大きくかけ離れたものであったため社会問題となり、「適正化を」との流れになったのです。ここにきてこれまであまり知られていなかった業界内での「常識」や「慣習」を見直し、命を適正に扱うための動きがようやく出てきたのです。

業界の「常識」と「慣習」をみっちりと経験

 最初に書かせて頂きますが、動物取扱業者の全てが常識的ではないということではありません。真っ当に営んでいる方たちも数多くいます。後述するように“命ある商品”の命を削り取り、ただの“商品”として扱うことに問題があるのです。残念ながらそのような一部の業者が作ったビジネスモデルへの社会的な反発がわきあがったことを、改めてよく考える必要があるのです。

 私は東北の田舎で、元来の動物好きもあり様々な動物に関わりながら育ちました。夢は獣医師の資格を取り環境と野生動物の保護をすること。残念ながら夢は果たせず、せめて動物達と関わりながらの仕事をしたいとペット業界に入り込んだのは十数年前。

 最初は販売・繁殖・動物病院の全てを持つ老舗のショップ。約300頭の犬猫を扱っていました。今話題のパピーミル(子犬工場。工場で機械的に物を作るように犬を繁殖させる悪質な業者)ほど環境は酷く無かったものの、内容に疑問を持ち転職。その後もペットショップやドッグカフェと職場を変えましたが、やはり自分の望む所とは違うことを実感し、今は同じ思いを持つブリーダーや企業のお手伝いを生業としながら動物の保護施設の建設を目指しています。犬猫の、まさにゆりかごから墓場までにある業界の常識や慣習をみっちりと経験してきました。偶然の出会いから、とあるテレビ番組で業界の内情を意見することとなり、今では様々な愛護団体のシンポジウムなどでも発言させていただく機会を頂いております。

「ブリーダー」と「繁殖屋」

 ブリーダーを検索すると「主に動物の繁殖および改良に従事する者をいう。育種家」と出てきます。ペット業界ではおなじみの職業だと思いますが、実は業界ではもう一つ「繁殖屋」という言葉も使います。ある種の犬や猫の健全性を追求し、その血統を守るために育種する者は「ブリーダー」。流行や市場の動向を重視し、子犬(子猫)を効率的に大量に生産する者は「繁殖屋」と呼ぶのが、業界の慣わしです。

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