家電口論

2019年5月31日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

スマート家電グランプリ審査員。主催する『生活家電.com』を通じ、家電の新製品情報、使いこなし情報他を発信中。過去、某メーカーでAVメディアの商品企画を担当、オーディオ、光ディスクにも精通。また米・食味鑑定士の資格を有する。水、米、パン、珈琲、お茶の味に厳しい。

 「IoT」という文字を見ない日はありませんが、IoTで儲けているという話は、ほとんど聞きません。サービスが錬れていませんし、「キラーコンテンツ」が見つかっていません。このため「IoTでこれができるから、この家電を買いました」なんて話は、ほとんど出てきません。

 では、IoTで昇り調子の会社がないかと言うとそうではありません。ITで家の価値を高めるビジネスを目剤しているSOUSEI Technologyなどがいい例です。どのように、IoTをビジネス化しているのでしょうか?

キラーコンテンツのない時の価値創造を目指す 〜HOME OS v-ex〜

Home os v-ex

 SOUSEI Technologyは、奈良県の住宅企業SOUSEIのIT部門が独立したベンチャー企業です。SOUSEI Technologyの考え方は、「IoTは大いに活用される技術だから、その下地を作っておく」ということです。

 例えば、今現在、新築1棟売りの家があります。片方は普通の家。もう片方は300万円高いのですが、太陽光発電が付き、IoT対応で、スマートロックが付いている家。売りに出したとき、300万円高くても後者の方が売れます。ユーザー目線でいうと、今、サービスコンテンツの少ないIoTだけど、未来を考えて「家」に投資したと言えます。

 家電は「今」が大事ですが、家はロングレンジ。今が良いだけではダメで、10年後、20年後にもイイことが必要ですから、IoTの世になるなら、今のうちから対応だけはしておこうということです。

 この対応というのは、2ステップあります。

 1ステップ目は、家全室でWi-Fiが使えるようにするということです。簡単に思えますが、実際やってみると、これが結構大変。1階は使えるけど、2階は電波が弱く時々切れる、1階でも洗濯機の置いてある洗面所はダメ、など中々一筋縄では行きません。

 2ステップ目は、ホームシステムの中心となるデバイスを入れることです。多分、今一番分かりやすいデバイスは、AIスピーカーでしょう。AIスピーカーは、人と音声でやり取りできるデバイスですが、そのAIスピーカーで、家にあるIoT家電に接続、コントロールすることができます。

 SOUSEI TechnologyはITを使い、家の価値を高めたいと考えている会社ですから、自社開発したHOME OS v-exで IoT対応を行います。しかし、より支持されるために2つの戦術を用いています。

 最初の策は、今の家電でもコントロールできるよう、赤外線コントローラー込みで導入することです。「IoT家電」は、本体の中に「Wi-Fiシステム」が組み込まれていて、ネットとつなぐことができる家電のことです。このためリモコンでも操作できますが、アプリを介してスマホでも操作できます。Wi-Fiでつながっているからです。

 非IoT家電の場合は、組み込まれているのは「赤外線受信器」です。このため「赤外線リモコン」を使って人はオーダーを伝えます。残念ながら、ネットにはつながりません。家電は一声、10年持ちますから、家にあるほとんどの家電は非IoT家電であり、自宅の家電のほとんどがIoT家電になるには相当時間がかかります。

 SOUSEI TechnologyのサービスはWi-FiやBluetoothなどの通信に対応しながら、赤外線コントローラーによる非IoT家電にも対応しています。

 IoTの場合、家電とネット双方向でのデーターのやりとりが前提であり、家電の中に組み込まれているセンサー情報をビッグデーターで解析、人間が指示しなくてもAIにより家電がベストの動きをすることですが、それは非IoT家電に望めません。

 しかし、人が指示を出したとき、IoT家電に似た動きをさせることはできます。例えば、「おはよう。」という一言で、IoTならエアコンと照明とコーヒーメーカーを動かしたいのですが、照明が非IoT家電だったとしましょう。「おはよう」と言って、エアコンとコーヒーメーカーは動き出したのに、照明は自分で付けに行かなければなりません。が、赤外線コントローラーがあれば、同時に照明を付けることが可能になります。

 IoTではありませんが、赤外線コントローラーを入れると、似たことができるわけです。自分が投資したIoTの片鱗を見せてくれるというわけです。

 二つ目の策は、面倒な設定をユーザーにさせないことです。私は、こんな仕事をしていますので、いろいろなシステムを試しています。赤外線コントローラーも導入済。アマゾン アレクサに対応している赤外線コントローラーを使って、音声でエアコン、照明がon/offできるように設定しています。

 ベッドの上、声一つで、エアコンと照明をコントロールできるのははなはだ便利と言うわけです。しかし、この設定が実に面倒くさいでのす。理由は、赤外線リモコンのフォーマットが統一化されていず、メーカーによってバラバラだからです。このため、家電一つひとつの赤外線コントローラーに信号を覚えさせる必要があるのです。昔、赤外線リモコンを1つにまとめた「学習リモコン」というものがありましたが、まさに「学習」させて行くわけです。

 先ほど、私はエアコンと照明のON/OFFを使えるようにしてあると書きましたが、逆にいうとあまりの面倒くささに、最低限のことしかしなかったとお考えください。

 SOUSEI Technologyは、v-ex導入時に、v-ex本体のセットアップ、赤外線コントローラーの設定、スマホアプリの設定をしてくれるそうです。これは大いに魅力です。

 既存の住宅に対して、このようなサービスは、ほとんどありません。とても時間が掛かりますし、新築のような塩梅のいい位置に、v-exを設置できるとは限りません。やはり後付けではなく、家を建てるときに考慮、導入するというのが大きなアドバンテージとなっています。

 面白いのは「HOME OS」という名乗りです。いろいろなアプリ、ソフトがありますが、OSは連綿とアップデートを繰り返し、その時代時代に添います。また、家は工業製品とは一線を画しますので、OSは独自の方がセキュリティーが高くなります。

 いろいろな想いが込められたv-exですが、今、とても評判がよく、これからも拡充させるとのことでした。

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