海野素央の Love Trumps Hate

2019年6月4日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは、「トランプとバイデンの集会はどこが違うのか」です。2020年米大統領選挙における民主党の最有力候補であるジョー・バイデン米前副大統領が5月18日、東部ペンシルバニア州フィラデルフィアで支持者を集めた集会を開催しました。一方、ドナルド・トランプ米大統領は2日後の20日、同州モントゥアズビレで支持者集会を開いています。本稿では、現地調査に基づいてトランプ・バイデン両氏の集会を比較します。

クリントン陣営と類似

バイデン候補と筆者

 まずバイデン前副大統領の支持者集会から紹介しましょう。フィラデルフィアでの集会は、午前11時開門で、午後1時開始でした。滞在先のホテルから集会場まで徒歩で向かうことも可能でしたが、すでに長蛇の列ができていると思い、タクシーを使うことにしました。

 ところが筆者がイベント開始約5時間前の午前8時15分に到着すると、開門を待っていたのはわずか4人でした。これは意外でした。

囚人服を着た反トランプの支持者。プレーボーイの表紙にはトランプ大統領の不倫相手の写真が掲載(海野撮影@ペンシルベニア州フィラデルフィア)

 バイデン陣営には確かに若者のボランティアがいますが、集会の参加者は全体的に年齢層が高く、クリントン陣営と類似しているという印象を持ちました。仮にこの第一印象が正しければ、16年米大統領選挙における民主党候補指名争いでバーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモンド州)に若者票を奪われたヒラリー・クリントン元国務長官と同様、バイデン氏も若者票の獲得に苦戦するということになります。

 今回の民主党候補指名争いでは、サンダース上院議員のみならず、ピート・ブディジェッジ市長(インディアナ州サウスベンド)及びべト・オルーク元下院議員(テキサス州)も若者に人気があります。

 加えて、バイデン氏の集会では1列目で演説を聞いている支持者の熱狂度のレベルは高いのですが、全体的に熱意に欠けています。これもクリントン氏の集会と共通している点です。

 バイデン陣営はフィラデルフィアの集会に6000人が参加したと発表していますが、その数字には大いに疑問があります。というのは、バイデン陣営は空席を作らないために、小さな会場で集会を開催しているからです。それでも集会が開始されるギリギリまで満席になりませんでした。

統一を訴えるバイデン支持者(筆者撮影@ペンシルベニア州フィラデルフィア)

 ちなみに米メディアによれば、ライバルのカマラ・ハリス上院議員(民主党・カリフォルニア州)が地元オークランドで行った集会には、2万人が集まりました。サンダース上院議員がニューヨークのブルックリンで出馬宣言をしたとき、1万3000人が参加しています。民主党の大統領候補指名争いにおいて支持率でトップを走るバイデン氏ですが、ハリス、サンダース両氏の数字にはまだ届いていません。

「米国は分断に飽き飽きしている」と支持者に訴えるバイデン候補(筆者撮影@ペンシルベニア州フィラデルフィア)

 現段階ではバイデン氏は、乱立する民主党候補の中で指名を受ける可能性が最も高い候補です。しかし、本選の大統領選挙を勝ち抜くうえで極めて重要な「熱狂度」の指標が低いと言わざるを得ません。しかも集会における若手不足が顕著に出ています。

 バイデン氏は前回の大統領選挙を戦ったクリントン元国務長官とまったく同じ問題に直面しており、この点を看過することはできません。

高齢者のバイデン支持者(筆者撮影@ペンシルベニア州フィラデルフィア)

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