赤坂英一の野球丸

2019年8月14日

»著者プロフィール

 連日熱戦たけなわの第101回高校野球選手権大会、今年は甲子園での本番を前に、関係者、ファン、マスコミの間で議論が沸騰した。岩手県大会の決勝で大船渡・國保陽平監督がエース佐々木朗希の疲労や将来を慮って先発登板を回避。結果、花巻東に大敗し、今大会ナンバーワンと言われた投手が甲子園に出場できなくなってしまったからである。

(gyro/gettyimages)

 佐々木の健康状態を第一に考えれば当然の措置だった。いや、負ければおしまいなのだから無理させてでも投げさせるべきだった。――等々、肯定派と否定派の真っ二つに分かれて意見が戦わされていた中、海の向こうでダルビッシュ有(シカゴ・カブス)が7月27日、ミルウォーキーでのブルワーズ戦終了後、國保監督を後押しする形でこう発言した。

 「何で投げさせないんや、とか言ってる人たちは子どものことを全く考えていないと思う。これほど全国から注目されている中で佐々木君の未来を守ったのは勇気ある行動」

 「熱中症対策や球数制限など、子どもたちや野球の未来を考えれば普通にやるべきことができていないってことが問題」(ミルウォーキー=共同 7月28日配信)

 ダルビッシュは高校時代、1年生の秋から東北のエースとなり、2年生の2003年春夏、3年生の04年春夏と4季連続甲子園に出場。

 それでも好成績を残せたのは、連投によって酷使されなかったからだと語っている。

 「自分ほど酷使をされなかった強豪校のピッチャーはいないと思います。 2週間キャッチボールすらしていない時もありましたし、先発も県大会、東北大会共に準決勝からという感じでした」(2019年7月28日のツイート。以下、ツイートはすべて原文のまま)

 自身の高校時代の経験に基づいて持論を展開しているだけに、ダルビッシュの批判や改革論は説得力十分。現役投手の中では登板回避肯定派一番の論客として、ネット上で絶大な支持を得た。

 そうしたダルビッシュの一連の主張の中で、唯一気になったのがツイッターで訴えた〝開会式廃止論〟である。

 「あと開会式もやめよ。 誰が暑い中入場行進して、知らんおっちゃんの長い話聞きたいねん。 それかスカイプ開会式」(7月26日)

 このつぶやきが甲子園での入場行進と開会式を指しているものとすると、「知らんおっちゃん」は主宰する高野連会長、朝日新聞社社長、文科相などを指すことになる。これにはさすがに賛否両論が殺到すると、ダルビッシュはツイッターでこう訂正した。

 「なんか勘違いしている人がいるから確認。 開会式をいらないと言ったのは予選の話。甲子園はいる。てかいる。個人的に全国ネットに出るチャンスがなくなるのは痛すぎる。でもおっちゃんの話はいらない。どうしても話したいならYouTubeに投稿すればいい。おっちゃんの人気爆発するかもしれないし」(同月27日)

 甲子園や地区予選の開会式の挨拶の長さに関しては、私も昨年の小欄で具体的な事例を挙げて批判した(「高校野球の開会式は10分で済ませるべき」2018年8月1日配信)。ただし、いくら予選だからとはいえ、開会式や入場行進をなくしてしまえばいいとまでは思わない。開会式は球児たちの保護者、家族、小中学校の指導者にとっても、手塩にかけて育てた子供たちの晴れ姿を見られる大変貴重な機会でもあるからだ。

 しかし、ダルビッシュはそうした声にも、こう反論している。

 「指導してもらったから無条件に恩人になるのは違和感しかないですね。あと熱中症のリスクにさらされてる生徒、息子なんて普通の感覚ならみたくないでしょ」(7月27日)

関連記事

新着記事

»もっと見る