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2012年4月9日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

「中国人が日本の不動産を買い漁る」と聞くと、警戒する日本人は少なくない。
だが、彼らの狙いは日本の「信用力」に基づいた、自らの財産保全にある。
金融でも「信用力」を活かして、日本がアジアのハブになることは夢ではないが、
金融産業を支える人材を育てて来なかった姿勢を改めなければならない。

 ヒト・モノ・カネが集まらない国は栄えない。世界中から優秀な人材を集めるための仕組みを議論すべきだという話を2月号で書いた。今回はカネである。

 投資資金を世界から集めるというと、日本は金融業で世界と戦うのは無理だとか、そもそもカネにカネを生ませるような虚業に力を入れるべきではないといった反論を受ける。日本はモノづくりで生きていくべきだというのだ。

 確かに欧米の巨大金融資本を敵に回して日本の金融機関が勝つのは難しそうに感じる。では、金融の世界で日本がまったく歯が立たないかと言えば、実はそんな事はない。

シンガポールや中国
ネックは「信用」

 「日本の信用力はまだまだ捨てたものではない」――。金融の世界でアジアを舞台に戦っているファンド・マネジャーの多くが、日本金融の武器は「信用」だと口を揃える。実は華僑を含めアジアの投資家たちが最も求めているのが「信用できる」金融機関や資産運用会社。逆に言えば、いかにアジアには信用できない金融機関が多いか、ということでもある。

 金融の中心地として急速に発展しているシンガポール。政府の政策による後押しもあり、日本を含めたアジアの富裕層の資金を集めることに成功している。だが、最大のネックだったのがこの「信用」だ。駐在経験もある大手銀行の幹部が言う。

 「今は良くても明日どうなるか分からないというのが従来のシンガポールでした。政策がコロコロ変わり、制度の安定性が乏しいんです」

 いわゆる、カントリーリスクである。

 経済成長著しい中国に至っては一党支配の共産主義の国であり、非常時に私有財産が保全される保証はない。だから、中国で財を成した富裕層はできるだけ資産を海外に移そうとする。

 アジアで活躍するヘッジファンドの大物に言わせれば、香港やシンガポールに流れ込んでいるかなりの資金が中国マネーで、その中には共産党幹部の個人財産も多く含まれている、という。つまりアジアでは巨額の資金が安全な財産保全の場所を求めて動き回っているということなのだ。

 ここ数年、東京都心部で売り出される高級マンションを中国系の外国人が買う例が増えている。東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、急減したが、ここへきて再び増えつつあるという。北海道や九州などのリゾート地を買い漁る動きもある。

 日本の国土が中国資本に買い占められると過剰に反応する向きもある。だが実際のところ、彼らの多くが狙っているのは日本を買い占めることではなく、自分自身の財産の保全なのだ。つまり、日本は財産を保全する場所として信用されているわけである。

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