世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年4月12日

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 East Asia Instituteのウェブサイト3月19日付で、Andrei Lankov 韓国国民大学教授が、北朝鮮の中・長期的将来について3つのシナリオを描き、それぞれの可能性と問題点を指摘しつつ、その中で、中国との関係をいかに処理するかを論じています。

 すなわち、朝鮮半島の将来に関する議論の多くは、韓国による北朝鮮の統合が、両者の交渉を通じて漸進的に行われることを前提としてきた。しかし、交渉による漸進的統合は勿論望ましいが、これは希望的観測というものであり、ほとんど不可能だろう。

 なぜなら、斬新的統合は、経済や人的往来を通じて徐々に行われるので、その間に1対15とか1対40とか言われる南北の経済格差が北の民衆にわかってしまう。そうなれば、民衆が政府に歯向かうようになり、政権は危機に直面する。つまり、漸進的統合は政権にとって極めて危険なやり方であり、北の指導者はこのことをよくわかっているからだ。

 結局、現実的にあり得る統合は、市民の反乱・指導部内の対立・改革の失敗などによる北の体制の急激な変動によるものしかないだろう。

 となると、北朝鮮の中・長期的将来は、次の3つのシナリオの内のどれかになる可能性が高い。

(1)基本的に今までと変わらない
北は国内では恐怖政治を敷きつつ、外から援助を取り付けるために、外部勢力を操る。これは永久に続く方法ではないが、10年や20年なら何とか維持できるかもしれない
(2)国内的危機により、韓国に吸収・統合される
秩序の崩壊など何らかの理由により、韓国との吸収・統合への動きが強まる
(3)国内的危機が中国の介入を招き、親中政権が成立する
38度線以北で中国式の経済改革が始まる。これは国の軍と資本の力によって可能となる。そして、基本的に北京によってコントロールされる政権が出来る

 以上の3つの内、韓国、米国にとって最も望ましいのは(2)だ。社会的にも経済的にも多くの問題を抱えてはいるが、他の選択肢よりは望ましい。

 この場合、中国との関係をいかに処理するか、つまり、中国が北に親中政権を作らないよう、中国との間で、妥協可能な案を見つけ出すことが韓国にとって決定的に重要になる。

 中国をうまく取り込むには、中国の朝鮮半島に関する基本的利益は何かを理解する必要がある。中国は、(1)国境地帯の安定、現状維持を望んでおり(2)周辺地域に米国の軍事的プレゼンスが出来ることを懸念している。そのため、南北分裂が続き、北朝鮮が緩衝地帯の役割を果たすことを望んでいる面がある。

 他方、中国による北への本格介入は、韓国と北朝鮮のナショナリズムを傷つけ、さらに、朝鮮半島への脅威と受け取られて、逆に中国に深刻な不利益をもたらすことも考えられる。中国の「平和的台頭」の神話も崩れるだろう。

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