2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2012年4月17日

 また、韓国では「東北アジア歴史財団」という国策機関が組織され、竹島や東海呼称問題だけでなく、慰安婦問題や靖国問題、歴史教科書問題などで日本を非難する対外工作を行っています。さらに、中高生7万人もの会員を擁する「VANK」という団体は、韓国政府の支援を受けながら、国連機関や世界のマスコミや地図会社などに、「竹島は韓国の領土である」、「東海併記を認めよ」という主張を、英文メールで送りつけたりもしているのです。

 日本も、たとえば国家戦略室のようなところが、歴史問題や領土問題を総括的に捉え、戦略的な対策を講じていくべきです。「VANK」のようにウェブを使い、日本の主張を英文で発信していくことも、非常に効果的だと思います。

「国土」は水を溜めるコップの役割

──しかし、日本という島国で、平和な時代に暮らしてきた私たちにとって、領土問題や歴史問題はどうしても生活から縁遠く、若い人はとくに関心を持ちにくいように思います。私たちは、国民としてこの問題をどう受け止め、考えていけばよいのでしょうか。

下條教授 : 日本の国会では、社会保障や消費税の増税など、内政問題については激しい議論が交わされます。しかし領土問題については、まともな議論が行われていません。内政問題というのは、いわばコップの中の水であって、国土はその水を溜めるコップの役割です。

 中国や韓国やロシアなどの外圧によって、コップの形が歪められようとしているのに、日本の多くの政治家は危機感すら抱くことなく、対策を講じようとしていないのが現状です。国会議員の先生の中には、領土問題のような国家主権に関わる問題は「票にならない」として、関心を持たない人が多いようです。領土が侵され続けているというのに、次の選挙のことばかり考えているようでは、政治家を名乗る資格はありません。

 そのような人たちを長年国会に送ってきたのは、有権者である我々です。北方領土(含む南樺太・千島列島)、尖閣諸島、竹島、日本海呼称問題と、危機がそこまで迫っているというのに、私たちはのんきに過ごしてきました。いま日本人は、ますます厳しくなる国際情勢を直視し、目を覚ます必要があります。有権者である皆さんが領土問題に関心を示すことで、心ある国会議員を動かすことができると思います。


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