経済の常識 VS 政策の非常識

2012年5月14日

»著者プロフィール

 総務省が4月17日に発表した人口推計によると、在日外国人を含めた日本の総人口は、前年と比べ26万人減少した。比較できる統計がある1950年以降、過去最大の下げ幅となった。出生者数から死者数をひいた「自然増減」が過去最大の18万人減となり、少子高齢化が改めて裏付けられた。在日外国人も、福島原発事故の影響で減少した(4月18日朝日新聞など)。

中国のGDPが
日本より低いのは異常

 人口が減少すると大変だと心配される方が多いが、人口減少自体を心配する必要はない。心配するのは、人口が減少すると高齢化の負担が大変だと考えるからだが、これは高齢化の問題であって、人口減少の問題ではない。

 しかも、高齢化が問題になるのは、高齢者が納めていた年金保険料以上の年金を得ることを当然とし、政治家がそのことを指摘しないからだ。納めた保健料見合いの年金額だけを払うようにすれば、何も問題はない。そもそも、高齢化問題など存在しない。納めた以上の年金をもらえるというネズミ講年金問題だけが存在する。

 国の豊かさは一人当たりの豊かさを意味するのであって、それに人口をかけた国全体のGDPとは関係がない。中国のGDPが日本を追い抜いたことを残念に思った日本人が多かったようだが、日本の10倍の人口のある中国のGDPが日本より低かったことの方が異常である。

 それよりも、私は一人当たりGDPで、とっくの昔に香港とシンガポールに抜かれたことの方が残念である。両国・地域の人から、東京は香港やシンガポールより豊かだと慰められるが、東京も追い抜かれると思う。台湾や韓国に追い抜かれるのも時間の問題であると私は思う。これを問題だと思う人が少ないのは残念である。

 そもそも、日本が豊かになったのは、人口が増えなかったからだ。正確に言えば、生産物が増えるほどは人口が増えなかったからだ。

一人当たりの
豊かさこそが重要

 紀元1年の日本の人口300万人だったが1600年には1850万人まで、6.2倍に増えた。しかし、一人当たりの所得は3割しか増加しなかった。それでもGDPは8倍になっている。しかし、これを経済発展とは言わない。生産物の増加は、ほとんどが人口増加に吸収され、一人当たりの豊かさには結びつかなかったからだ。

 これに対して、戦後の1955年から現在まで、人口は1.4倍に増えただけだが、一人当たりの所得は8.2倍にも増えた。

 経済発展とは、生産物が増加したほどは人口が増えないことである。幸いに、経済発展に成功したほとんどのアジアの国々の人口は、すでに減少しているか、減少に向かう。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る