WEDGE REPORT

2012年5月25日

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原丈人 (はら・じょうじ)

デフタ・パートナーズグループ会長

アライアンス・フォーラム財団代表理事。1952年生まれ。欧米で活躍する日本人事業経営者。国連常任諮問団IIMSAM特命全権大使、ザンビア大統領特別顧問、財務省参与など歴任。著書に『だれかを犠牲にする経済は、もういらない』(ウェッジ)、『21世紀の国富論』(平凡社)、『新しい資本主義』(PHP新書)がある。

5月25・26日に日本が太平洋島嶼国・地域を招待して開催する太平洋・島サミット。
第6回を迎える今回は、初めて米国からも政府代表が参加する。
地政学的観点からも重要な同地域に、日本が果たすべき役割は明らかだ。
中国が政治的・軍事的に影響を深めるなか、日本も民間資本を投入して経済関係を深め、
太平洋の安全保障を強化し、太平洋における日本のプレゼンス向上につなげたい。

 5月25、26日、沖縄県で太平洋・島サミット(以下、島サミット)が開催される。これは、日本が14の太平洋島嶼国・地域の首脳を3年ごとに招待する国際会議で、1997年に始まった。6回目の今回は、初めて米国から政府代表が参加する。

太平洋に浮かぶ14の島嶼国・地域
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 ポリネシア、ミクロネシア、メラネシアという3つの地域で構成される太平洋島嶼地域。全部で2~3万の島々からなるこの地域は、陸地面積こそ小さいが、排他的経済水域(EEZ)で言えば中国の陸地面積の約2倍にも及ぶ広大なエリアである。しかし、これまで国際社会の注目を受けることはほとんどなかった。この地域が、今後非常に重要になる。

 ミクロネシアは、第二次世界大戦後、国連の信託統治領となり、その受任国となった米国の領土(広義)であったが、米国は高度な自治を認めてきた。世界の“警察官”を任じる米国だが、中東や中南米などに比べれば、太平洋島嶼国への関心はかなり小さかったといえる。

 しかし、ここでもまた、中国が経済力を背景に影響力を強めようとしている。中国がその突破を中期的目標にしている「第二列島防衛線」(伊豆諸島、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)の先にある太平洋島嶼地域を、親中国家にすることは大きな安心材料であり、日本─グアム─豪州と米国が敷く対中包囲網に楔を打ち込むことにもつながる。

 従来から太平洋島嶼地域に援助し、秩序形成に深く関わってきたのは、豪州やニュージーランド(NZ)であった。豪州は従来の地域的プレゼンスの上にあぐらをかき、その方式を引き続き強めることで地域を安定させようとしたが、反発を招き、中国が影響力を強めた。

太平洋への関心高める米国

 こうした豪州のやり方に、「オバマ・ドクトリン」で中東からアジアへのシフトを鮮明にする米国は、「もう彼らに南太平洋は任せられない」と本気で乗り出す覚悟を決めた。昨年来のキャンベル国務次官補の島嶼諸国歴訪や、米国政府の島サミット初参加も米国のやる気の表れだ。これから具体的な行動を次々と示していくだろう。環太平洋経済連携協定(TPP)もその一環である。

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