世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年6月22日

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 ファイナンシャル・タイムズ5月28日付で同紙コラムニストのGideon Rachmanが、シリアについては、爆撃など武力ではなく、外交による解決を追求すべきだ、と論じています。

 すなわち、武力でアサド大統領を倒そうとすれば、政権移行の過程で宗派間殺戮が起きるリスクが高まる。アサド政権は政権に留まるために残虐行為を繰り返してきており、アサド政権が崩壊すれば、アラウィー派もキリスト教徒も報復される可能性が高い。

 実際にシリアで残虐行為が行なわれている今、将来の残虐行為を心配するのは、いささか的外れに思えるかもしれないが、何らかの外圧が緊急に必要なのは明らかだ。アナン前国連事務総長による停戦と軍撤退の試みは失敗しており、今後は停戦のみならず、アサド政権の追放をめざすもっと積極的な外交努力が必要だ。

 米国とシリアの反政府勢力が、アサド政権後のシリアにおいてもロシアの安全保障上の利益は尊重されるという明確な保証を与えれば、ロシアもアサド政権に圧力をかける側に加わってくれるかもしれない。

 また、アサド家は軍、民族、党、ビジネスの利益のネットワークの上に乗っているだけなので、交渉による移行には現政権のメンバーも含まれる必要がある。こういう移行は難しいし、不快でもあるが、シリアでの殺し合いを止めさせる現実的な選択肢として試みる価値はある、と言っています。

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 軍事介入か、あるいはより強い外交的圧力かですが、論説は軍事介入の時期ではないことを力説し、アサド退陣を視野に入れたより強い外交を行うべきだと論じています。確かに、外交で事態の打開が出来るのなら、それに越したことはありませんが、これは、それ以上に、軍事介入をする気持ちが米・NATOにない以上、外交にしか期待できないということを踏まえた現状追認論でしょう。

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