中国はいま某国で

2012年7月9日

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谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

 中国は世界最大の産金国で、その中国でも最大の金鉱企業は福建省上杭に本社をもつ国有の紫金鉱業である。

中国最大金鉱会社
タジキスタンで争議

 2011年10月、中央アジアの一国タジキスタンのザラフション金鉱で大規模労働争議が発生、図らずも、紫金がタジキスタンに深く関与していた実態が明るみに出た。

 ザラフションは、紫金が75%の株式をもち支配下に置く山だ(残りの株式はタジキスタン政府が保有)。争議の原因は現地労働者の賃金が中国人に比べ不当に低いとするもので、報道によると、月次賃金が100ドルだった労働者が150ドル貰えることとなり、ストライキには至らず収束した。

 中央アジア各国の中でタジキスタンは最も貧しく、毎年100万人もの労働者がロシアへ出稼ぎに行く。その本国送金が所得の大宗をなす。ところがそんなタジキスタンが将来は金、銀など地下資源の恵みで伸びると見越してか、中国人が流入中だ。

 米政府系ラジオ・フリー・ヨーロッパが伝えた説によると、その数は既に8万人。多くは査証の在留期間が切れた後、不法残留するという。首都ドゥシャンベの人口は70万人に過ぎない。中国人の首都集中率は知らないが、急増した実感が強いだろう(日本人で同国に住むのは11年6月現在39人)。

 タジキスタン自体の潜在成長力を買うほか、中国にはイランへ抜ける通路として同国を重視する発想があろう。

 12年3月25日、ドゥシャンベにイランとアフガニスタンの大統領が訪れ、タジキスタンの大統領と三国首脳会談を開き、イランから天然ガスのパイプラインをアフガニスタン経由タジキスタンまで敷く計画文書に調印した。合わせてこの3国間をつなぐ鉄道、道路、送電線の新増設が決まった。

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