世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年6月27日

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 CSISのウェブサイト6月5日付でJ. Randy Forbes米下院議員が、中国が競争相手であることを認め、中国に関してもっと率直な議論をすべきだ、と論じています。

 すなわち、米国の為政者には中国からの挑戦について率直に語ることへの躊躇があるが、こういうことは終わらせ、中国と競争関係にあることを認め、北京の能力と意図を討議し、この長期的な平和時の競争に外交、軍事資産を振り向けるべきだ。

 中国を競争者と呼べば、競争、軍備競争、紛争につながりかねないという考えがあるが、中国はすでに米国と競争しており、15年間、軍近代化を進めてきた。大国間の力の紛争を避ける最善の道は警戒心を持って備えることであり、それには、中国の軍近代化、外交姿勢、サイバー活動、諜報、北朝鮮やイランへの支持について討議するのを躊躇しないことが必要だ。

 こういう討議は冷戦思考への回帰と言う人もいるが、米中のイデオロギー対立は冷戦の規模ではない。ただ、米中は諸分野で競争関係にあり、だからこそ中国との長期的な平和時の競争に備える必要がある。

 その際、最も重要な課題は必要な資源を確保することであり、海軍が潜水艦を、また、空軍が長距離爆撃機を配備したいのならば、政府は議会と国民にこうした兵器の役割をはっきり説明しなければならない、しかし、戦略的競争や人民解放軍の近代化を率直に討議しないで、それをすることはできない、と言っています。

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 これは適切な論説です。1990年代、ジョセフ・ナイやキッシンジャーが、中国を脅威と言えば、予言の自己充足となって、中国が本当に脅威になってしまう、とおかしな議論を繰り返し行いました。また中国も、中国脅威論は反中行為だと決めつけるなどした結果、米国では中国の軍事力等についての率直な討議が邪魔されてきたことはフォーブスの指摘の通りです。また、こうした傾向に終止符を打つべきだという指摘もその通りでしょう。

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