地震・津波・原発・風評被害
「四重苦」の福島メディア 問われる真価


小田桐 誠 (おだぎり・まこと)  ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。2004年7月から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長。現在、法政大学と武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員長。近著に『NHK独り勝ちの功罪』(ベスト新書)がある。

故郷のメディアはいま

地方を読み解くための「カギ」は、ローカルメディアにある――。かつての行政主導の時代を経て、今はメディア自らが、地場産業や地域のイベントの復活などを通じて、町を活性化している事例がたくさんある。それらを紹介しながら、ローカルメディアの価値を見直すきっかけを提示する。

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東日本大震災・東京電力福島第一原発1~4号機の事故以来、「フクシマ」と表記されることがある福島県は、全国第3位の面積を誇る。

3つの地域に分けられる福島

 このため、県内の新聞・テレビなどのメディアは、当日あるいは1週間前の気象予報を「中通り」「会津」「浜通り」の3つの地方に分けて報じている。地図や市町村名をその3つに色分けして伝えることも珍しくない。

 たとえば「中通り」といえば、福島、伊達、二本松、郡山、田村、白河などの市であり、「会津」は若松、喜多方、猪苗代等の市町、「浜通り」は相馬市、南相馬市に原発が立地する大熊町、富岡町、双葉町に川内村といった双葉郡の相双地域に加えていわき市が含まれる。

 いわき市は1966年に平、磐城、勿来、常磐、内郷の5市と周辺の町村が合併して新設された市である。人口は約34万人と県内最大で、東北地方全体でも仙台市に次ぐ第2位である。かつては常磐炭田で知られたが、今は炭鉱夫の娘たちがダンサーを目指して奮闘する姿を描いた、映画『フラガール』の舞台となったスパリゾートハワイアンズ(旧名称・常磐ハワイアンセンター)が全国的な人気スポットとなっている。地元メディアが取り上げる頻度も多い。

 県内の観光地はいわきと「会津」に集中するが、政治・経済および交通の大動脈といえば、何といっても「中通り」である。その中で県庁や中央官庁の出先機関がある福島市は「政治の街」であり、郡山市は「経済・商業の街」と位置づけられている。

地元紙も加わった開局をめぐる主導権争い

 同県には、4つのテレビ単営局があるが、本社は両市2局ずつ。AMのラジオ福島(RFC)は福島市に、FM福島(ふくしまFM)は郡山市に本社を構える。放送局の中で最も早く開局したのが、1953年12月のRFCだ。

 テレビ局では、フジテレビ系列福島テレビ(FTV)の63年4月。FTVの設立に当たっては、読売新聞・日本テレビグループ、朝日新聞・日本教育テレビ(当時のNET、現在のテレビ朝日)グループ、産経新聞・フジテレビグループに地元紙の福島民報などが主導権=筆頭株主争いを演じた。「一本化調整」という名の話し合いはなかなか決着がつかなかったため、県が株式の半分を所有し、FTVが複数のキー局の番組を受けるクロスネット局としてスタートすることで、ようやく開局にこぎつけたという。

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「故郷のメディアはいま」

著者

小田桐 誠(おだぎり・まこと)

ジャーナリスト

1953年、青森県生まれ。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。2004年7月から4年間、放送専門誌『GALAC』編集長。現在、法政大学と武蔵大学社会学部兼任講師。BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員長。近著に『NHK独り勝ちの功罪』(ベスト新書)がある。

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