世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年8月22日

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 7月12日付英Financial Times紙に、Tzipi Livni元イスラエル外相は、「アラブの春でもイスラム主義者の冬でもなく」と題する論説を寄せ、エジプトのモルシ新大統領の出方を今後も注視しながら、パレスチナ和平を推進して行くことが重要であると、指摘しています。

 すなわち、我々がアラブの春を迎えているのか、又は、イスラム主義者による冬を迎えているのかは、エジプトのモルシ新大統領の行方と、国際社会が彼をどう取り扱うかにかかっている。カイロには、テヘランでの非同盟運動会議への招請状と、オバマ大統領との会談への招請状の双方が届いているが、これは、エジプトが岐路に立っていることを象徴している。

 昨年エジプト人がタハリール広場に集まった時、二つの見方があった。一つは、自由と民主主義が到来したというものであり、もう一つは、イスラム過激主義の台頭になると考えるものだった。

 1年後、私(リヴニ)は、モルシ氏の大統領選出で、楽観論者も悲観論者も正しくなかったと考えている。モルシ氏は、確かにイスラム運動の候補者であったが、現在のエジプト政治を単にイスラム主義で理解することは難しい。現実はもっと複雑である。

 シナイ半島では、ジハディストが根付き始めているので、法秩序の悪化が懸念される。彼らはエジプトをイスラエルとの直接対決に向かわせようとしている。エジプトの選挙結果は、地域の過激派を勢い付かせている。ヨルダンのフセイン国王が、ハマスの指導者を招待したことは感心できない。

 イスラム集団が、穏健な立場をとるようになるか否かは、国際社会の支援の条件による。モルシ氏が最初の演説で言及したパレスチナ問題は無視できない。アラブの支持なしに、パレスチナの指導者がイスラエルと和平を作ることは困難である。アラブの新指導者の最も重要な試練がここにある。現実的なパレスチナ陣営への支持が今ほど必要な時はない。ハマスへの支持は和平につながらない。

 パレスチナの現実主義者と極端主義者の戦いは、イスラエルにとって、和平合意が出来るか否かの問題である。民主主義は単なる投票ではなく、政治目的達成のための、暴力の排除、旧政府により結ばれた合意の遵守を意味する。

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