ショーゼンさんの 川柳いろは教室

2012年9月20日

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杉山昌善 (すぎやま・しょうぜん)

1943年生まれ。川柳は川柳作家・時実新子氏に師事、テレビ・雑誌などさまざまな媒体で選者を務めるほか、都内を中心に川柳教室などを開く。著書に『今日から始める現代川柳入門』、『60歳からの新しい川柳』(実 業之日本社)ほか。

川柳のペンネーム、柳号って?

ショーゼン  今日は、句そのものではなく、ペンネームのことについてお話ししましょうか。のぞみさん、川柳詠みが使うペンネームをなんていうかご存じ? 

のぞみ はい、柳号(りゅうごう)ですよね。

ショーゼン そうです。俳句なら俳号、書道、日本画なら雅号。「芭蕉」「鴎亭」「大観」・・・・・・。日本の美しい四季や心のありようにちなんだ立派なペンネームばかりだよね。

のぞみ あ、でも柳号は雅号とは様子が違うなあ。自然風物をあらわした柳号には、お目にかからないかも。本名の人も多いし、ペンネームの場合もなんか人間臭いというか。

こだま そうね。川柳そのものが、人心の機微を詠む文芸だからかしら。

ショーゼン こだまさんの言うとおり。川柳には、俳句で使うような硬い熟語や季語は使いませんよね。だから柳号にも、句に沿って人間味のある言葉を用いる人が多い。

 『三国志』や『宮本武蔵』を書いた歴史小説の大家・吉川英治も作家として売れる前の貧しい時代は川柳詠みだった。彼の柳号は「雉子郎(きじろう)」。「焼け野の雉 夜の鶴」(棲んでいる野を焼かれたキジが、炎の中で自分の子を救おうとし、ツルは寒い夜に自分の羽でその子を暖めることから、親が子を思う情の深いことのたとえ)に由来するものです。

貧しさもあまりの果ては笑ひ合ひ  雉子郎

 貧しさのなかにも、彼らしい孝行の心、家族愛を感じる句だと思わない?

 ちなみに僕は本名の下の名前「昌善(まさよし)」を「しょうぜん」と音読みで読ませて、柳号にしています。

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