世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年9月25日

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 8月14日付The Australian紙で、John Lee米ハドソン研究所客員研究員は、中国は屈辱の歴史に復讐していると言うが、もはや、民主的かつ繁栄している台湾を取る以外は、すでにその目的を達しているので、南シナ海進出を歴史観で説明するのは無理であり、中国自身が考え方を変える必要がある、と論じています。

 すなわち、中国は清朝衰退以来の歴史的屈辱に報復していると言う史観を何百万ドルもの宣伝費を使って国際的に広めようとしているが、もともと清朝は満州族の征服王朝であり、また、その版図は、民主的かつ繁栄している台湾以外は、チベット新疆等を含め、全て回復した。南シナ海への権利等は周辺諸国が平等に主張できるものであり、歴史的屈辱とは関係ない。1990年代以降、“敵対的”であるはずの中国を取り巻く国際環境は、中国の発展に多大な貢献をしている。アメリカも中国の興隆による新たな情勢の変化に対応しなければならないだろうが、中国も、国際協力の増進のために、このような手前勝手な歴史観を修正する必要があろう、と述べています。

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 「嘘で固めた万里の長城を取り壊せ」を表題とするこの論文の主たる目的は、中国自身に対する以上に、中国の歴史的主張に同情的な、Hugh Whiteのような学者や、Paul Keatingのような政治家に対する反論です。中国は、かつて東アジアの覇権国であり、それを回復する正当な権利があるという考え方は、東アジアからの米国の撤退論、米中共同管理論に繋がります。この論文は、そのような考え方に対する反論なのです。

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