中国 南シナ海における
領有権主張は根拠なし


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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アジア情勢に詳しいジャーナリストのバウリングが、6月4日付ウォール・ストリート・ジャーナルで、中国は、地理的関係を無視し、一面的な歴史的根拠によりスカボロー礁への領有権を主張しているが、中国がこのような歴史の書き換えを続ける限り、南シナ海における対立は解決しない、と論じています。

 すなわち、中国は、南シナ海において、地理を無視し、一面的な歴史的事実に基づき、領有権を主張しているため、フィリピンだけでなく、他の諸国とも対立している。

 中国外交部は、モンゴルの支配下にあった13世紀に中国船がスカボロー礁を訪れたことを領有権の根拠としているが、それより遥かに前から、インドネシア人、マレーシア人、フィリピン人、更に、ベトナム人の祖先がこの海域に進出していたのだから、一番乗りをしたなどとは言えない。

 中国は、1898年のパリ条約で、スペインが米国に主権を委譲した地域にスカボロー礁が含まれていないことを指摘しているが、フィリピン人の意向を無視して結ばれた条約を、ご都合主義で、自らの領有権主張に利用する行為だ。

 中国は、1932年に領有権を主張していたので、その後になってフィリピンが領有権を主張しても無効であるとしているが、フィリピンは当時外国統治下にあった。

 フィリピンが1994年に発効した国連海洋法条約に基づく解決を希望しているのに対し、中国は、自らの領有権主張は1932年に既に行われているので,海洋法条約の規制を受けないと主張している。これは、海洋法条約上の立場が弱いための言い訳だ。

 中国が厚かましく歴史を書きかえ、地理的現実を無視するままでは、地域の海洋での対立は終焉しないだろう。

                   ◆         ◆         ◆

 バウリングが主張するように、中国の領有権主張には十分な根拠があるとは言えません。フィリピン側が主張するように国連海洋法条約に基づく解決が筋でしょう。

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