中国はいま某国で

2012年11月6日

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谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授

明治大学国際日本学部客員教授。2008年7月まで3年間外務省で外務副報道官。元日経ビジネス記者、編集委員、ロンドン外国プレス協会会長。著書に『同盟が消える日』(編訳、ウェッジ)など。(2013年1月末日現在)

 北京の一隅で、誰かこんな会話を耳にしなかっただろうか。「グリーンランドで氷が溶け、資源が大量に見つかり始めた。ダイヤモンド、金から鉄鉱石、石油、厖大な量のミネラル・アースまである。未開発の沃土だ」。

金、ダイヤ、石油となんでもありの沃土

 「人口は5万7000人を切る。そのうちイヌイットの比率が9割弱という。宗主国デンマークの手を次第に離れ、2009年以来自治領だ。いずれ独立国になるつもりらしい。そして地下資源は既に自治領の管轄になった」

 「だったら中国のカネで、丸ごと取り込んでしまえないだろうか。まずは労働者を中国から送り込もう」

 とそんな、絵に画いたような話があったかは兎も角、事実としてグリーンランドの側に中国マネーを当てにする気持ちがあれば、英米資本の有力企業を表に立てつつ千人単位で中国人労働者を送る案も囁かれる。グリーンランドの自然保護団体「ヌークフィヨルドの友人(Nuuk-fjordens venne)」は既に身構え、持ち込まれるディーゼル発電機などの環境負荷を案じる。

 グリーンランドはデンマークから、邦貨にして年額約485億円(10年実績)の補助金を貰っている。次第に減額する予定で、自治政府としては埋め合わせを図りたい。それを北京に期待するかに示唆したのが、イェンス・フレデリスケンという自治政府の運輸部長だ。12年の6月、同氏はデンマーク紙に「中国側と協力していけない理由がわからない」と語った。

 英国の首都に、ロンドン・マイニングという新興資源会社がある。創業は05年。鉄鋼メーカーだけを顧客とし、鉄鉱石と粘結炭の探査を専業とする。ノルウェーのオスロ証券市場とロンドンの新興企業向け市場に株式を公開している。持ち株比率3%以上の株主には有名ファンドが名を列ね、一見したところ資本構成に格別の特徴はない。

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