経済の常識 VS 政策の非常識

2012年11月19日

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 民主党は2009年衆院選のマニフェストで配偶者控除の廃止を掲げたが、13年度税制改正での廃止も取りやめ、結局4年連続の見送りをすることとなったようだ(11月6日読売新聞)。

 なぜ配偶者控除の廃止が問題になるかと言えば、これによって、妻の給与所得が103万円を超えると家計の手取り所得が増えなくなり、女性の就労意欲を抑え、パートタイマーの賃金相場を下げているとの議論があるからだ。

 もっとも、女性の就労意欲を抑えるのは配偶者控除だけでなく、夫の社会保険に加入できるか、自前で保険に加入しなければならないかの限度、給与所得で130万円の制約も大きい。さらに、妻の家族手当を払う基準を103万円にしている会社も多い。家族手当が2万円なら年に24万円で、これは大きい。

 おおざっぱに言って、103万から170万円近くまで、働いてもほとんど手取り所得が増えないという状況になる(本稿の目的は、家計所得を最大化する方策の解説ではないので、詳しくは税理士のブログなどを見ていただきたい)。

 主婦が働くと、収入を増やしても結局所得が増えないわけで、これは経済学の言葉を使うと限界税率100%ということになる。金持ちでも地方税を含めて税率は50%だから、この制度は著しく就労意欲を下げている。

 人口減少で働き手がいないのに、103万円の壁のために女性が就労調整して年間所得を減らしているのは理解しがたいことである。

 問題は配偶者控除だけでなく、主婦の医療保険、年金問題までにかかわる大問題だ。しかし、小問題を解決できない人に大問題が解決できるはずはない。まず、配偶者控除をなくすことから始めるべきだ。

働く妻と専業主婦の
不公平をなくすには

 配偶者控除の廃止に反対する側の心情は、これまでの制度を前提に主婦であったのに、今さらなんだということだろう。

 大学が多すぎるという田中真紀子文部科学相の問題意識に賛同する人は多かったが、いきなり3大学認可拒否はおかしいというのが良識ある世間の大勢だった。いきなり変えれば混乱が大きいのは当然である。

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