経済の常識 VS 政策の非常識

2012年11月19日

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 であるなら、すでに専業主婦である人の配偶者控除を認め、これから働きに出る若い人から変えていけば良い。多くの人は、既得権を打破しなければ改革は行えないという。私は逆だと思う。既得権を認めてしまえば、反対が減って改革ができる。

 配偶者控除は、すでに何十年も前から議論しているが、いまだに廃止できていない。20年前に、20歳の人から廃止していれば、もう改革ができていたのだ。

 明治維新は身分制度を廃した革命だが、武士には石高を一時金に換算して、その金額の国債を渡した。下級武士には生活費として不十分だが、大名には十分すぎるものだった。既得権を認めたからこそ、明治維新が成功したのである。

 では、社会保険、会社の家族手当という大問題をどう解決したら良いだろうか。政府が、会社に家族手当を支給するのを禁止するというのも奇妙である。家族手当は、労働条件の一部であり、労使が協議して決めることで、政府の関与すべきことではないからだ。

 一番簡単な解決策は、すべての女性がフルタイムで働くことだ。月給20万円なら、ボーナスがなくても年に240万円になる。それだけの年収があれば、103万円の壁を容易に超える。

 こういえば、反対の大合唱になるだろう。もちろん、ここでも20歳の人から始め、すでにそうであった人の既得権を認める。しかし、それでも、小さな子供がいるのに働けない。保育所をつくりもしないで女性に働けというのかと大反対になるだろう。

 私の提案は、まず、子どもの預かり費用を所得から引くことができるようにすることだ。子供を預けなければ働けないのだから、それは当然、所得を得るための費用である。費用を所得から差し引くのは当然だ。なぜ、この当然のことがなされないのか不思議である。

 アメリカでは、子どもを預けるコストは税金から引ける。所得から引く以上に、手取り所得が高くなる。これはアメリカの出生率が高い大きな理由の一つだと思う。

 さらに、この費用は夫または妻が主婦または主夫にも払えるようにする(もちろん、祖母など親戚でも良いことにする)。金額は、妻が働いている家計が外部に払っている子どもの預かり費用の平均とすればよい。

 このことによって、専業主婦の夫の税金が減り、家計所得が増える。これで、働いている妻と働いていない妻とが不公平だという反対論が消えるだろう。この制度には、女性の労働時間を減らすという副作用がない。


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