日本国内で、砂の需要が大きいのは五輪関連施設の開発やタワーマンションの建設ラッシュなどが続く東京だ。砂の供給地は千葉県になるが、千葉県産の砂は粒度が細かいという特性があるため、一部北海道産の粗目と呼ばれる種類の砂を持ってきて混入するといったこともしているという。
砂は木材などと違って単価が低いので海外からの輸入はこれまでそれほど多くなかったが「中長期的に考えれば、輸入も視野に入れるべきだが、東京近郊に砂を積んだ大型タンカーが接岸できる港だったり、砂の置き場所を設けたりしなければならないなど簡単ではない」(同)という。
未使用コンクリート
〝残コン〟とは何か?
一方で、砂を使用する側にも問題がある。コンクリートは、セメント、骨材(砂)、水で作られる。これまで見てきたように中長期的には供給の厳しさが増すなかで、未使用コンクリート(残コン)が大量に発生しているのだ。19年、日本では約8200万立方㍍の生コンクリートが出荷されたが、そのうち3~5%が使用されずに捨てられている(東京ドーム2~4個分)。
残コンが発生するのは、足りないことを危惧して多めに生コンが発注されることや、品質を保つために練り混ぜを始めてから打ち込みまで90分(外気温25度以上、未満だと120分)と、日本産業規格(JIS)で定められており、建築基準法37条「建築材料の品質」で、このJIS規格に適合することが求められているからだ。長岡生コンクリート(静岡県伊豆の国市)の宮本充也社長は「これまで商慣習で、残コンは生コン業者が引き取って廃棄してきた。このため存在しないことになっていた。しかし時代環境も変わり、残コン問題を放置したままでいることは許されない」と話す。希少さを増す「砂」がこのような形で消えていることも、日本の多くの人にとっては知られざる事実だ。
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