世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月28日

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 11月17日付米Washington Post紙で、Henry A. Kissinger米元国務長官は、米国とイランは既に二国間の接触、交渉を行なっているようで、イラン問題は、戦争か平和かに関する重大問題であり、今までは多国間で交渉してきたが、米大統領は早晩態度を決めなければならない、と述べています。

 すなわち、このまま放置して置くと、イランは北朝鮮と同じように、何時実戦的な核兵器を保有するか分らないようなステイタスを獲得することになる。周辺諸国で核能力の無い国は、イランとの関係を見直し、宥和的になろう。抑止力があれば良いという考えもあるが、それは冷戦時代の複雑な抑止関係の構築を意味し、また、核能力のある諸国は、核武装に走るであろう。

 イラン問題の解決策としては、イランのウラン濃縮能力を5%に抑え、合意された一定量以上の濃縮ウランは外国で保管することだ。米大統領は、決断すべき時期に来ている、と述べています。

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 長い間、多国間交渉に委ねて、一進一退を繰りしてきたイランの核問題について、もう大統領選も終わったのだから、この辺りで、米国大統領は決断してイランに明確なレッド・ラインを示すべきだ、という論説です。キッシンジャーの親イスラエル的立場を示すものですが、と言って、キッシンジャーも特に良い考えを持っているわけでもないようです。

 ここで一つだけ提起したいのは、昨夏以来、一つの新しい政策が散見されるようになったことです。イランに対する経済制裁の効果は顕著で、イラン国民は、米国ではなく政府を恨んでいるようです。武力攻撃は、かえってイラン国民を反米に結束させる効果があろうということです。

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