2024年4月18日(木)

田部康喜のTV読本

2012年12月19日

 自民党と公明党が大勝して、政権が交代することになった衆議院選挙は、次のステージの幕開きを告げる序章に過ぎない。

 新しい首班が指名される、26日の特別国会の開幕ベルが鳴るまで、政権の骨格をめぐって、政局は第2幕を迎えている。

 政治は不連続である。一寸先は闇の世界で政治家たちはもがいている。

コラムニストとして選挙の片隅に

 衆院選の投開票日である16日、わたしは東京都知事選の選挙事務所にいたのだった。衆院選と都知事選がダブルでおこなわれるのは、史上初めてである。

 青春時代にそのデビュー作である「天皇の影法師」と「日本凡人伝」を読んで、無名のノンフィクションライターに私淑したのが、この日のわたしの場所であった。

 当選を果たして、第7代の東京都知事に就任した猪瀬直樹氏は、10年後に共通の知人によってその事務所を訪ねたのが交流の始まりである。

 都知事選挙のなかでは、キャンペーンの内容などで意見を述べた。ボランティアのスタッフである。

 選挙戦のなかにいたので、コラムの執筆を絶ったのと、個人の公式ホームページやツイッター、フェイスブックの更新を停止した。

 そこまで慎重になる必要はないのだが、選挙事務所のスタッフとしては、自らの言論がなんらかの形で、選挙戦に影響がでる可能性をゼロにする必要を感じたのだった。

 選挙にかかわるのは、これが初めてではないが、コラムニストとして選挙の片隅にいるのはまったく未経験であった。自ら書くことを封印して。過去の選挙戦では、ビジネスマンとして有給休暇をとって、つまり政治活動の自由の行使として参加したのであった。

東京の冬の美しさに目を奪われる

 選挙戦を戦う側から、この衆院選をみるとき、熱狂なき自民党と公明党の勝利ではなかったか、と思う。わたしは、ボランティアの片隅に位置して、街宣車に乗ったわけでもなく、ビラ配りをしたわけでもない。しかしながら、初冬の首都の町々でおこなわれた候補の遊説には同行して、人々の反応に耳をそばだてたものであった。


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