World Energy Watch

2013年1月29日

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 安倍新政権は「デフレ脱却」を強く打ち出している。日本銀行も政権の要請に応え「2%のインフレ目標」を打ち出し、さらなる金融緩和にも踏み切ることを決めた。世界でも日本だけが経験している長期のデフレから脱却するために、プリンストン大学のポール・クルーグマン教授が十数年前から主張している、「大幅な金融緩和」と「インフレターゲット」によるデフレ脱却政策の実行だ。

 この政策については賛否が渦巻いているが、デフレ脱却のためには金融政策だけではなく、実際の経済成長が必要だ。そのためには潤沢なエネルギー、電力供給も大きな条件になる。「デフレ脱却と電力供給」の共通点は「で」だけではない。

「流動性の罠」か「不確実性の罠」か

 2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン教授は米国を代表する経済学者だ。また、2000年から執筆しているニューヨークタイムズ紙のコラムで鋭い批判を行うことで知られている。特に共和党の政策については反対の論陣を張ることが多く、昨年の大統領選挙ではテレビ討論会での共和党ロムニー候補を「財政の裏付けのない政策を述べた嘘つき」と批判した。

 教授は十数年前から、「日本は流動性の罠に陥っている。デフレ脱却のためにはインフレターゲットを打ち出すしかない」と主張している。1998年の「日本の不況と流動性の罠」に関する論文でインフレターゲット論を最初に打ち出した。1999年に日本でも翻訳され出版された「世界大不況への警告」(早川書房)でも、「調整インフレ」を日本は行うべきと主張している。その後もニューヨークタイムズ紙のコラムでしばしば日本で取るべき政策について触れている。

 「日本経済には年率2%から3%のインフレが必要だ(経済成長が実現されるのは年率2%から3%のインフレ下が多いとのデータがある)。そのためには、4%のインフレを目指すと日銀は打ち出すべき」と教授は主張している。名目金利がゼロの流動性の罠に陥ると、消費も投資も行われず手元に資金が置かれることになる。インフレ期待があると、手元資金の価値は時間とともに減少することとなり消費、投資が活発化するとの意見だ。

 安倍政権が教授の主張通り「インフレターゲット」を打ち出したことについては、最近のニューヨークタイムズ紙で「低迷する先進国のなかで驚いたことに日本が新政策に踏み出した。政策が成功するならば、最初に不況に陥った日本が他国に抜け出す方法を示すことになる」と述べている。

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