うつ病蔓延時代への処方箋

2013年1月31日

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 うつ病を意識するようになったのは10数年前から。身近な人にうつ病が及び深刻な事態であることに気が付いた。それ以前にもメンタル不調による休職者の存在は知っていたが無関心だった。今や患者数は100万人ともいわれ、減少する兆しは見えていない。どうすればいいのだろうか。メンタルヘルスに関わる国内トップクラスの識者たちに、混迷する現状のうつ問題をぶつけ、解決への一端を探ってみる。初回は心理学者の加藤諦三・早稲田大学名誉教授に、うつ病に陥る要因などを聞いた。

加藤諦三(かとう・たいぞう)
1938年、東京生まれ。東京大学教養学部卒。同大学院修士課程修了。早稲田大学理工学部教授を経て名誉教授。ハーバード大学ライシャワー研究所客員研究員。日本精神衛生学会顧問。ラジオの人生相談パーソナリティー。著書は500冊以上。最近の著書は「うつ病は重症でも2週間で治る、もし…」(三笠書房)など多数。

精神的な病は医者以外でも治せる

―― 心の不調さを感じたら早く医者に行くべきと思いますが、精神科は予約で一杯。簡単な診療で薬をもらって帰るだけという批判も聞きます。精神的な治療は医者だけのものなのでしょうか。

加藤諦三氏(以下加藤氏):肉体的治療と心理的治療は根本的に違います。足のケガは医者以外には治療できませんが、心の病は医者以外でも治せます。優れた精神科医から抗鬱剤を処方されても患者が医師を信頼していなければ効果は薄い。医者ではないが信頼している人から聞く話の方が、良い結果をもたらすこともあります。心の病の治療法は、医学的治療のほかにカウンセラーや信頼できる人などによる心理的治療、心の拠りどころを見出す宗教的治療の3通りがあります。医学的治療を否定するわけではないのですが、3つの方法があることを考慮すべきです。

加藤諦三氏 (撮影:著者)

 うつ病を減らす方法として共同体を再構築することがあげられます。もはや、無理であることは承知していますが、もし日本の共同体感覚が復活すれば、うつ病患者は激減するでしょう。うつ病患者の共通点は共同体感覚がないことです。共同体感覚なしに人生の諸問題は解決出来ないとオーストリアの高名な精神科医であるアルフレッド・アドラーは説明しています。年功序列、終身雇用のような会社組織で生きる仲間意識は、人とのつながりを強めます。

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