うつ病蔓延時代への処方箋

2013年1月31日

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―― 理解を妨げる要因として身近な例があれば教えてください。

加藤氏:93年にアメリカのABC放送が朝のニュース番組で1週間にわたりうつ特集を放送しました。そこに登場したうつ病患者の一人は、黒いロングコートで身を包み、派手な赤いヒールを履いて、見るからに元気そうに街を歩いていました。しかし彼女は、家に帰ると夫の食事を用意することができません。日本では怠け者としか思われないでしょう。

 うつ病の本質は「憎しみの表れ」です。心の底で夫を憎んでいるから食事をつくれない。では夫と離婚すればうつ病の原因はなくなるのですが、別れることに対する不安がブレーキとなり、心の苦しみを選択してしまう。うつとは落ち込んでいる姿だけではなく、このような形のうつもあります。私は半世紀近くラジオで人生相談をしていますが、悩んでいる人たちは解決を求めているのではなく、苦しんでいる姿を伝えるために電話をかけて来ることが多いです。「苦しい!」ということは憎しみの間接的表現です。

 嫌いと寂しさの選択で人は嫌いを取る傾向にあります。だから憎しみが増長するのであり、寂しくなりたくないから別れられない。どうしようもない関係になって心が病んでしまう。自殺する人は助けを求めているけど、実際には求めないことが多いです。なぜならば助けを求めるべき人が嫌いだからです。

 このようなうつ病への対策は、多様で複雑であるがゆえに簡単にはいきません。それでも対策を講じているからこそ、患者数が100万人で止まっているとみるべきでしょう。増えないけど減らない、一進一退の状況です。

[特集] 「心の病」にどう向き合うべきか?

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