世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月29日

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 中国がワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ウオールストリート・ジャーナルなど米主要紙に対し、ハッカー攻撃をしかけ、中国関係の情報や暗号を盗み出そうとした件について、2月15日付のワシントン・ポスト紙社説は、中国のサイバー工作の対象は新聞社を含む企業、米国政府、大学、株取引、シンクタンクなどに広く及んでおり、その主目的は知的財産の盗取、スパイ活動などにある、と述べています。

 すなわち、中国からのハッカー攻撃がNYTとWSJに集中した時期はちょうど中国内部で最高指導者レベルの人事をめぐり、派閥間の抗争が激化した時期に当たっている。またこの時期には、中国最高指導部の家族による海外での巨額蓄財や薄煕来の失脚をめぐる報道が米国内で広く行われた。

 中国が米国企業をハッカー攻撃する目的は、経済目的のために技術を盗み出すことであるが、軍や新聞社を対象とするものは、より古典的なスパイ活動を目的とするものである。もちろん、米国政府もスパイ活動を行ってはいるが、米国の情報機関は私企業のために技術を盗むことはしない。

 これらの中国の動きに対し、米国は如何に対応すべきか。議会での措置はまだ取られていないが、オバマ大統領は一般教書において、私企業をサイバー攻撃から守るために、行政命令を出した。今後はより強い措置を取る必要があり、その機はすでに熟している。クリントン国務長官は辞任にあたり、無制限なハッカー行為は重大な結果を生み出すことを他国に明言すべきだと述べている。

 米国政府は、経済スパイに関与したと思われる者に対しては、ビザを拒否したり、追放措置を取ったりする必要がある。さらに、中国指導部に対しては、米国としては、報復として攻勢的にサイバー工作をしかけ、相手からの攻撃を無力化するなど、より強い措置を取る考えがあることを明確に伝えるべきである。

 これまでのところ、中国はサイバー攻撃、情報盗取、システム破壊などを行ったとする米国側の主張を否定し、中国もサイバー攻撃を受けている被害者である、などと述べているが、中国は、もはや毛沢東時代の貧しい孤立した国ではなく、サイバー空間において、グローバルな経済大国にふさわしい振る舞いをすべきである、と主張しています。

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 社説は、最近米国のコンピューター・セキュリティー企業「マンディアント技術社」が公表した、上海を拠点とする解放軍部隊「61398」が関与している可能性が濃厚だとする報告と軌を一にしています。

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