2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年4月18日

 3月9日付米カーネギー財団のサイトで、Iskander Rehman同財団核政策プログラム・アソシエイトは、中国が外国の軍事活動を許さないとの強硬姿勢を取っているのは、領土問題もあるが、本当の理由は、南シナ海を中国の戦略原潜の基地に接続する原潜の展開水域として確保したいからである、と述べています。

 すなわち、南シナ海は海南島の三亜を基地とする中国の戦略原潜の展開水域であるが、中国は、対潜水艦兵器や海洋調査船を展開している米国と、インド・太平洋地域の米国の同盟国網によって、第一列島線の中に閉じこまれかねないと感じている。そして紛争の際には、戦略原潜が第一列島線の外に出る前に、米海軍に発見され、無力化されてしまうのではないかと懸念している。

 中国が南シナ海で外国の軍事活動にますます不寛容になっているのは、この懸念のためである。

 中国は南シナ海での外国の軍事活動に対して、公には領土問題の観点から抗議しているが、中国の為政者たちは内々には戦略原潜が基本であり、如何に将来の原潜による抑止を守るかが重要な関心事である、と言っている。

 冷戦中、ソ連の戦略原潜は遠隔のバレンツ海やオホーツク海を基地としていたが、中国が原潜の基地として選んだのは世界で最も重要なシーレーンの真っ只中である。


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