南シナ海問題でフィリピンが提訴
尖閣も参考に


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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WSJ紙が、1月24日付社説で、南シナ海問題について、フィリピン政府が国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく調停を求めたことは、中国がこれを受け入れるか否かを問わず重要なジェスチャーであり、この問題について共同して中国に対抗しようとしている東南アジア諸国を、オバマ政権が支持することは、必要かつ有益である、と述べています。

 すなわち、フィリピン政府は、UNCLOS(UN Convention on the Law of the Sea)の裁判所に、南シナ海における領域問題の調停を要求した。もし裁判所が受け入れたとしても、審議には何年もかかり、中国は不利な裁定には従わないであろうが、それでもこれは重要な政治的ジェスチャーである。

 今回の提訴は、1940年以来の中国の広範囲の領有権主張に対抗するものであると同時に、中国が島と主張している岩礁にも関するものである。

 フィリピン政府は、今回の提訴についての一連の動きの中で、領有権問題を多国間の問題として扱うよう改めて主張し、この問題の帰結は全世界にとっても利害関係のあるものだと論じている。世界貿易の流れの相当部分が通過している海域をめぐって複数の国が領有権を主張しているのだから、それは正しいアプローチである。

 もちろんフィリピンは、バナナの輸入などで報復されるリスクを冒している。しかし、直面するリスクという点では、中国の方が大きいかも知れない。フィリピン政府による今回の申し立ては、中国の「分断-威嚇-制圧」戦略が機能していないことを示している。中国の威嚇外交と領土的野心を受けて、周辺諸国は結束を強めており、こうした周辺諸国の結束を、オバマ政権は支持すべきであり、支持すれば成功するであろう、と論じています。

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 社説は、結論として、オバマ政権はこれを支持すべきであり、オバマ政権が支持すれば、周辺諸国が結束してこれに当たる形を作るのに成功するだろう、と言っていますが、この部分には、オバマ政権の新陣容に対する危惧が感じられます。それは、クリントン国務長官ならば当然にフィリピンの動きを支持したでしょうが、オバマの新体制がこれを支持するかどうか、疑問なしとしないのが現状だからです。

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