尖閣諸島は歴史的に中国の領土であり、日本が一方的に奪ったと国際的にPRする中国。
一方で、尖閣をめぐり解決すべき領有権の問題は存在しないと一点張りの日本。
歴史的な事実や当時の史料を読み解けば、尖閣が中国や台湾の領土であった
ことは確認されず、歴史的にも国際法的にも、日本に領有権があることは確実だ。
日本は中国に対して主張と反論を繰り返し、国際社会へ積極的に発信する必要がある。
2012年9月、経団連の米倉弘昌会長は、尖閣諸島に関して「領土紛争」が存在すると政府が認めるべきだと発言した。また今回の総選挙に向けた日本維新の会と太陽の党の政策合意では、「尖閣諸島について中国にICJ(国際司法裁判所)への提訴を促す」としている。
しかし、ここで注意が必要である。ICJは国家間における「法律的紛争」の解決を任務とする国際裁判所であって、政治紛争を扱う機関ではない。日本が尖閣問題をICJに付託すれば、日中間の法律的紛争として認めたことになり、尖閣諸島の日本領土としての地位を不安定にする恐れがある。尖閣諸島は決して係争地などではない。歴史的経緯からしても国際法から見ても日本の領土であることに疑いはないのである。
つまり、尖閣紛争とは、日本の領土としてこれまで認められてきた地域について、突然に中国側が領有権を主張したことにより生じた外交・政治の問題であって、決して国際法的な意味での領土紛争ではない。そのことを以下で明らかにする。
国際法上「先占」とは、どの国家にも属していない「無主の地」を、他の国家に先立って実力で支配すること(先占行為)によって自国の領土とする行為をいう。先占の要件として、(1)その土地を領有しようとする国家の意思がなんらかのかたちではっきりと対外的に表示され、かつ(2)国家がその土地を実効的に占有することが求められる。
国際法上
日本は実効的に支配
1895年1月以降日本政府が尖閣諸島に対してとった一連の措置はこの先占の要件を満たしており、日本は同諸島に対する領有権を取得するに至ったということができる。
すなわち(1)の要件に関しては、尖閣諸島を「沖縄県の所轄」と認めた閣議決定(1895年1月14日)と、それにより許可された民間人が現地で開拓に従事し、標柱を建て、日常的に国旗を掲揚していたこと、及び、日本の領有意思を黙示的に表示する一連の統治行為を島に対して行ったこと等により、わが国の領有意思は十分明確に表明された。
(2)の実効的占有(ないし支配)の要件に関しては、次のようなさまざまな統治行為を挙げることができる。