NHK BSプレミアム「大岡越前」
東山紀之、人情物に挑む
テレビ時代劇に十八番が生まれる


田部康喜 (たべ・こうき)  東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

田部康喜のTV読本

月刊WEDGEに2008年6月号まで約10年間、110回にわたって連載したコラム「読むテレビ」が、インフィニティで復活します。 コラムを読んでくださった方が、そのテレビ番組を見なくても番組について語れるようになる、というコンセプトは変わりません。大きな転換期にさしかかっているテレビ界。スマートフォンやスマートパッドの登場によって、映像コンテンツの価値はより高まっていると思います。ぜひご覧いただきたい番組をご紹介してまいります。掲載回数は月に2回で、第1・第3水曜日にアップ予定です。

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テレビ放送が始まってから、今年2013年は60周年である。NHKの本放送の開始は1953(昭和28)年2月 1日午後2時、祝賀番組は尾上梅幸と松緑らによる「道行初音旅(みちゆきはつねのたび)」。日本放送が開局した同年8月28日の記念番組のトップも歌舞伎に題材をとって、宝塚の天津乙女と南悠子による舞踏「寿式三番叟」であった。

 歌舞伎の名優たちと人気スターがともに、新しいメディアの誕生にあたって、江戸の文化の風を吹かせるように祝った。

 テレビの歴史の60年は長くはないが、短くもない。番組のジャンルの栄枯盛衰があった。江戸の風を感じる時代劇もそのひとつである。

 噺家の立川談志家元が落語について、「江戸の風を感じる」と定義していた言葉を引いた。

 時代劇の魅力は落語に似て、江戸という時代設定のなかで、現代の雑多な社会の仕組みや風景が消し去られて、人とひととの人情の機微が映し出されるところにある。それは親子の情愛であり、お店や長屋の助け合い、ご隠居の世間知などさまざまである。

東山越前、さっそうと登場

 NHK BSプレミアム スペシャル時代劇「大岡越前」の第1回(3月30日放送)「名奉行誕生」を観た。毎週土曜放映の全9回シリーズである。

 テレビ時代劇の「大岡越前」は、TBSが1970年から99年にかけて放映した人気番組である。主演は加藤剛である。

 今回の「大岡」の配役は、大岡越前に東山紀之、徳川吉宗に平岳大、越前の友人の蘭方医に勝村政信である。

 伊勢の新任の奉行として巡視していた東山は、知行地の農民たちが、隣接する紀州藩の農民による「水泥棒」に悩まされていることを知る。深夜ひそかに堰を切って、紀州領に水を流すのである。

 法に則って、東山は紀州藩に水泥棒の犯人の引き渡しを、書面で求める。相手は徳川御三家であることから、部下たちは反対するがそれを押し切って。

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「田部康喜のTV読本」

著者

田部康喜(たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

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