社食に企業の想いあり

2013年4月18日

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 取材日は3月の下旬。薄曇りだったが、ちょうど桜が満開の時期だった。日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の8Fに位置する社員食堂の一角からは、川を挟んで向かいにある猿江恩賜公園の桜が臨める。「これは贅沢ですね」。思わずそう口に出てしまったが、同社社食の素晴らしさは、もちろんこれだけではない。

配膳カウンターが4つある理由

 1963年に、横河電機と米国のヒューレット・パッカードとの合弁企業として設立された同社は、今年で創立50周年を迎える。江東区にある現在の本社ビルは2011年5月に開所した。このビルの8F全フロアに、5,600平米・900席という大きな社員食堂がある。

メニューが確認できるデジタルサイネージ。料理のサンプルを置くと廃棄が出るが、これならばエコも実現。右図では配膳カウンターの位置も分かる優れもの

 フロアの中央は吹き抜けになっており、吹き抜け部分に設置している階段と、南北の階段、また、南北に各5基づつあるエレベーターで食堂まで上がることができる。食堂フロアに入った社員がまずすることは、入り口にあるデジタルサイネージという電光掲示板でその日のメニューの確認。メニューはイントラネットでも確認することができるが、掲示板を見上げる人たちの顔は心なしか弾んでいる。

 掲示板ではメニューとともに、それぞれのメニューがフロア内で4つに分かれたゾーンにある11の配膳カウンターのどこで受け取ることができるのかを表示している。フロアのほぼ中心にある電光掲示板から見て、配膳カウンターは左斜め前方と後方、右斜め前方と後方の4箇所。配膳カウンターを11箇所に分け、この配置にしているのには理由がある。

 「ひとつは、配膳カウンター前にできてしまう“渋滞”を少なくするため。また、グループでランチを食べるとなると、結局みんな同じものを頼んでしまうことが多いですよね。それぞれが違うものを頼んで違う場所で受け取って、後でまた集合するというスタイルにすると、違うものを取りやすい」(髙山源一総務部長)

 周囲と違うものを頼んで、自分だけ食事が来るのが遅かった場合のことを気にしたりして、何となく最初に注文した人と同じものを頼んでしまった経験は多くの人にあるだろう。しかし、毎日のことだからこそ、食事は自分が食べたいものを適量食べるのが望ましい。席に着くまでの導線をなるべくスムーズに、自分の食べたいものを選びやすく。そんな配慮がなされているのだ。気配りはこれだけではない。

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