安保激変

2013年4月19日

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辰巳由紀 (たつみ・ゆき)

スティムソン・センター主任研究員

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。東京生まれ。国際基督教大学卒業後、ジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院で修士号取得。在米日本大使館専門調査員、戦略国際問題研究所(CSIS)研究員などを経て2008年より現職。2012年よりキヤノングローバル戦略研究所主任研究員を兼任。専門は日本の防衛政策、日本の国内政治、日米安全保障関係、米国の対アジア安全保障政策。

 第二期オバマ政権が発足して2カ月が経過した3月1日、「想定外」の事態が起きた。財政再建案を巡り連邦議会とホワイトハウスで合意に達することができなかったことで、いったんは延期された連邦予算一律10%カットの強制削減措置、所謂「sequestration」が発動されてしまったのだ。

米連邦政府予算、異常事態に突入

 2011年予算制限法(Budget Control Act, BCA)によれば、同法が修正されるか、議会と政府が別途、財政再建策を巡る合意に達することでBCAを取消にする別の法律が成立しない限り、一律10%の予算強制削減措置は、議会と政府が合意に達しない限り、少なくとも2013年度一杯(今年の9月末まで)、最悪の場合は今後10年間続くことになる。

 しかも、昨年は大統領選挙の年だったこともあり、共和党が主導権を握る下院とホワイトハウスの間で全く妥協する雰囲気が生まれなかった。このため、連邦政府の2013年度予算についても年度初めにあたる昨年10月1日までに成立しなかった。この時に、今年の3月末を期限に議会は「継続決議(continuing resolution, CR)」を可決、2012年度の予算のレベルで政府支出を引き続き行うことを認めることで、連邦政府閉鎖を回避した。この継続決議の失効期限であった今年の3月末に、議会は再び継続審議を可決、これによって、連邦政府の多数の省庁が、2012年度予算と同額の予算マイナス10%の支出を2013年度一杯続けることになった。継続決議による暫定資質を政府がまる一年続けた例は近年になく、明らかな異常事態が続いている。

今年度国防予算にも影響が

 このような予算を巡る異常事態が続く中、国防予算も影響を受けている。

 国防省は、今年の3月末に2013年度予算が成立し、まるまる一年、暫定措置に頼らなくてよくなった数少ない省庁の一つだ。それでも、予算強制削減措置が有効なため、当初要求額6140億ドルから約400億ドル減額された5740億ドル(基本予算4930億ドル+戦費810億ドル)が今年度予算となっている。BCAが定める予算強制削減の規模は全体予算の10%だが、国防省の場合、軍人の給料のように強制削減の対象とならない旨が法律で定められているものや、傷痍軍人への手当、アフガニスタンでの活動経費など、強制削減の影響を最小限にとどめる方針が国防省として決まっているものがあるため、実際の削減幅は約7%にとどまっている。

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