コメつくり
生産のアウトソーシングでコスト削減


田牧一郎 (たまき・いちろう)  田牧ファームズ代表

1952年福島県郡山市生まれ。田牧ファームズ代表。コメ生産者として郡山市で15年、カリフォルニアで20年、「国際競争力のあるコメつくり」をテーマにコメの生産・販売を行う。2012年からはウルグアイで事業を開始。世界の「おいしいごはん」マーケットに輸出を計画。日本のコメ産業も強くなれるはずと、日本でも試行錯誤中。

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コメつくりの基本技術として毎年の気象条件の変化に合わせた、「追肥(生育途中で施す肥料)」があります。特に安価な肥料を使って低コスト化を目指すときには、品種ごとに適した肥料を施すタイミングや量の判断が、非常に重要になります。

 当然、除草剤や殺菌剤の使用など、稲の病気を防ぎながら雑草対策もしなければなりません。高品質のコメをたくさん収穫するためには専門的な知識と経験が重要です。

 そのため、カリフォルニアでは農薬と稲の生理についての専門知識を持った技術者が生産者の依頼を受けて対象の水田を見て、農薬や肥料の使用種類と散布タイミングを提案しています。

 彼らは数千ヘクタールの稲を見ることができます。500ヘクタール以上の大面積でコメつくりをしている農場では、稲の生育期間中は肥培管理を専門に行う技術者も雇用しています。収入に直結する稲の栽培管理には、高度な知識が必要なことが認識されています。

 ウルグアイでも「農業エンジニア」という、生産者の栽培管理について指導・助言を行うコンサルタントが、数千ヘクタールの水田を見ています。

 専門家を活用することによって、農薬や肥料の厳格な使用管理が可能になります。さらに専門家のアドバイスによって、新しい技術や生産資材への対応も早くできることから、将来に継続できるコメつくりにつながります。

 専門家の的確な作業の指示で、水田では熟練した技術を持った作業者が、効率よい作業を大面積で行うことが可能になり、高品質なコメの反収(1反=10アールあたりの収穫量)増加が期待できます。作業の専門化と分業化によってコメつくりに使用する資材の節約と人件費の削減で、生産コストの削減を見込むことができます。

日本のコメ農家は
脱自作農をするべき

 日本では、コメ生産者に限らず、自ら農地を所有して耕し、自ら収穫する生産者が今もほとんどです。農作業用の機械を所有し自ら運転することも基本となっています。これが生産者の経営安定対策と食糧増産対策として、農地解放から戦後一貫してとられてきた自作農政策です。コメ生産者は稲の作付面積を拡大していく過程で、それらの作業を行うための機械や設備への投資を行ってきました。実は、これが現在の大規模コメ生産者の生産コストを下げさせない、大きな原因にもなっています。

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著者

田牧一郎(たまき・いちろう)

田牧ファームズ代表

1952年福島県郡山市生まれ。田牧ファームズ代表。コメ生産者として郡山市で15年、カリフォルニアで20年、「国際競争力のあるコメつくり」をテーマにコメの生産・販売を行う。2012年からはウルグアイで事業を開始。世界の「おいしいごはん」マーケットに輸出を計画。日本のコメ産業も強くなれるはずと、日本でも試行錯誤中。

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