ひととき特集

2013年8月20日

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宮城和歌子 (みやぎ・わかこ)

京都府生まれ。都内編集プロダクションでPR誌の制作などに長年携わる。趣味は旅先での産直巡り。各地で地元食材への探求を欠かさない。

かつてのお伊勢参りなら、参拝の後は「精進落とし」が常でした。いまでも伊勢ではあちらこちらのお店が地元の美味をそろえて参拝者を待っています。神宮参拝のあともゆっくり伊勢にとどまり、美(うま)し国といわれる当地の旨いものを楽しんでみてはいかがでしょう。

外宮前・河崎
変わりゆく町、まっとうな店

「松阪牛のコース」からメインのステーキと前菜。赤身そのもののステーキは、驚くほどやわらかい
(写真:阪本博文(6点とも))

 伊勢の人に「地元でいま一番“旬”な場所は?」とたずねたら、間違いなく「外宮(げくう)前!」と返ってくるだろう。おかげ横丁で賑わう内宮(ないくう)前に比べ、近年ひっそりとしていた感のある外宮前が、ここにきて新店のオープンラッシュに沸いている。その変貌ぶりを「活気が出てきて嬉しい」と歓迎するのは、外宮前に店を移して15年となるフレンチレストラン「ボンヴィヴァン」の河瀬毅(かわせたけし)シェフだ。

 「食の神さまである外宮さんに感謝を伝えられたあと、うちに寄られるお客様は、どこか実直な方が多いように思う」と河瀬シェフ。食に対する敬虔な気持ちは共通。だからこそ「伊勢の一番おいしいところをまっすぐに届けたい」と力が入る。

 地産地消のコース料理。前菜は、伊勢志摩の山海の幸を一口ずつ盛り合わせた、目にも楽しい一皿。答志島(とうしじま)のウタセエビや近海の金目鯛……散りばめられた地野菜は、単なる彩りとは言わせない存在感。いずれも素材の旨みが濃く、鮮度が際だつ。

 メインのステーキに使われていた松阪牛の「いちぼ」は、入手も容易ではない希少価値の高い部位。それでも「サシのバランスが理想的で、松阪牛の、肉本来の味が堪能できる」と譲らない。良い食材に恵まれた土地に、良いレストランが育つ。ボンヴィヴァンはその最たる例だろう。

 参道脇に佇む店の建物は、大正12(1923)年築。かつて郵便局や電話局として使用された歴史的な洋館である。料理とともにこちらの雰囲気も心ゆくまで味わいたい。

●フランス料理 ボンヴィヴァン
東海道新幹線名古屋駅で参宮線に乗り換え、快速「みえ」で約100分、伊勢市駅下車徒歩約5分
伊勢市本町20─24
☎0596(26)3131
営業時間/[ティールーム]9時~20時、[ブラッスリー]11時30分~15時(14時LO)、17時30分~21時(20時LO)、[フレンチレストラン]12時~15時(13時30分LO)、17時30分~22時(19時30分LO)、要予約
定休日/月曜(祝日の場合は翌日。店休日前日のディナーは休み)
http://www.bonvivant1983.com/

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