世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月4日

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 米CSISロシア・ユーラシアプログラム副部長のJeffrey Mankoffと、モスクワ国際大学欧州研究所のOleg Barabanovが、米国がアジア重視を進める中でロシアをどう位置付けるかについての報告書を7月26日に発表し、その中で、北方領土問題の解決を促進することの重要性を指摘しています。

 すなわち、ロシアとアジア諸国の経済関係は伸びている。中国は2010年以来、ロシアの最大の貿易相手国である。しかし、ロシアはアジア太平洋地域にもっと真剣に取り組まなければならない。ロシアとAPEC諸国との貿易額は、ロシアの全貿易額の4分の1に過ぎない。ロシアは東アジア首脳会議のメンバーになったにもかかわらず、大統領が出席しておらず、ASEAN本部に専任大使も置いていない。北朝鮮の非核化をめぐる6か国会合でも、受け身にとどまっている。

 ロシアはシベリア、極東の投資環境を改善して外資を誘致することで、これら地域をアジア経済の中にもっと組み込まなければならない。ソ連崩壊後、同地域の重工業の90%が失われ、人口の約4分の1が流出している。ロシア極東に中国の投資が行われることは歓迎するが、度が過ぎれば中国の勢力に巻き込まれてしまう懸念がある。

 米国はアジア重視政策を表明しているが、ロシアには全く言及していない。ロシアの役割をもっと評価するべきである。ロシアは米国に次ぐ兵器輸出国であるし、朝鮮半島を初め、北東アジア、東南アジアにおける米国の安全保障上の目的達成を助けたり、阻害したりする力を持っている。また米国は、中ロ関係が同盟関係になることを望んでいない。

 「アジアにおける米ロ間の協力」という要素は、これまで活用されてこなかった点である。アジア太平洋地域において米ロの利害は、一般に考えられているよりも一致している。特に安全保障問題を、話し合いの中心的テーマとするべきである。これは、中国を封じ込めるためではない。中国封じ込めが前面に出ると、ロシアは動きにくくなる。他方ロシアは、中国に入れ込み過ぎれば、中国の下位国になってしまう危険性は認識している。ロシアは太平洋艦隊を増強しようとしているが、これは中国海軍との格差が広がるのを恐れてのことである。

 米国は、北東アジア、東南アジアの同盟国や友好国が、中国に対する領土要求においてもっと慎重になるよう求めるべきである。北朝鮮非核化が進めば、南北朝鮮を貫くインフラ(鉄道、天然ガスパイプライン)の建設にロシアが参加することを、米国は認めるべきである。

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