チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年9月5日

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富坂 聰 (とみさか・さとし)

ジャーナリスト

1964年、愛知県生まれ。北京大学中文系に留学したのち、豊富な人脈を活かした中国のインサイドリポートを続ける。著書に『苛立つ中国』(文春文庫)、『中国という大難』(新潮社)、『中国官僚覆面座談会』(小学館)、『ルポ 中国「欲望大国」』(小学館新書)、『中国報道の「裏」を読め!』(講談社)、『平成海防論 国難は海からやってくる』(新潮社)、『中国の地下経済』(文春新書)、『チャイニーズ・パズル―地方から読み解く中国・習近平体制』(ウェッジ)などがある。

 習近平体制がスタートして以降の中国を見回したとき、この国に起きた最も大きな変化が何かといえば、それは間違いなく腐敗官僚に対する取締強化と贅沢禁止を呼び掛けた倹約令に収れんされてゆくことだろう。

 こうした変化は、主に共産党と国民との間で起きたものであり、共産党が国の統治にある種の危機感を抱いていることを投影したとも考えられた。

 一方、党内で権力の継承が起きた際に、必ず注目されてきた内部の安定という視点で見た習近平体制はどうだろうか。

注目される習近平の権力のグリップ具合

 なかでも注目されるのは権力の掌握の程度であり、その中心的な話題には常に中国人民解放軍(以下、解放軍または軍)の存在があった。

 2013年7月31日、軍の最高意思決定機関である中国共産党中央軍事委員会(以下、中央軍委または軍委)が入る「八一大楼」で新たに上将に昇格する6人の軍幹部に対する昇格式が行われた。

 午前9時30分から行われた式の総責任者は軍委の許其亮副主席。国歌が演奏されるなか、軍委の范長龍副主席が命令書を読み上げた。命令書には6月29日付の習近平の署名があった。

 これは習近平体制がスタート――2012年11月に党中央総書記に就任した時点をスタートと考える――して2度目の新任上将の任命となる。

半年で2回目の人事を断行した習近平

 党機関紙で政治を中心に取材するベテラン記者が語る。

 「政権スタートから半年余で2回も軍の人事を大きく変えるというのは、習近平主席の自信の表れなのかもしれません。今年年初に出された贅沢禁止令は、軍に対する厳しい締め付けになりました。民間に貸し出されたりしていた軍ナンバーの回収を命じたり、450万元以上の高級車に軍ナンバーをつけることを禁じたりと、大胆にメスが入れられました」

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