日本の漁業は崖っぷち

2013年9月20日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 魚離れが進んでいるといわれる中、8/22「太平洋のクロマグロの資源・養殖管理に関する全国会議」で、水産庁の宮原正典次長は、「安いからと言ってメジマグロを食べるのは、やめましょう」と、本マグロの刺身として店頭に並ぶメジマグロを食べるのを控えるよう異例の呼びかけを行いました。なぜ安いメジマグロを食べてはいけないのでしょうか?

 メジマグロ(写真)とは、20kg未満の子供(未成魚)のクロマグロのことです。20~30kgのマグロを目の前にして、これが子供なの? と思うかもしれませんが、クロマグロは300kgを超えて成長する大型魚なのです。産卵できるようになるのは3歳、30kgを超えてからで、それでも産卵するのは2割、5歳90kgで完全に産卵すると言われています。

メジマグロ

 メジマグロは、成魚のクロマグロに比べて価値が低く、値段はおおよそ5分の1程度と大幅に安くなっています。しかし、消費者が刺身になった状態のメジマグロと親のクロマグロを見分けるのは難しいので、「消費者に食べないで欲しい」というより、「そんな小型のマグロは獲らなければよいのでは?」と考える方が多いでしょう。

WCPFCでは日本の提案が採用されたが……

 9/2~5に福岡で行われていた、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の小委員会が閉幕しました。日本、米国、韓国他全部で9カ国が参加しましたが、そこで日本は、太平洋クロマグロの国際的な資源管理において、未成魚(3歳以下)の漁獲量について「2002~2004年の年平均から少なくても15%下回る水準」にするよう関係漁業国に提案し、合意が得られました(ちなみに米国の提案は25%の削減でした)。12月にはWCPEC本委員会に勧告されることになります。

 ただし、韓国は未成魚の削減措置の適用除外となっているため、各国が適用することを求めています。その韓国が漁獲しているメジマグロは、主に日本に販売されているというのが現実で、それを食べてしまう我々消費者にも問題があるのです。

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