不思議に思えるかも知れませんが、2015年から15%の削減が適用となっても、漁に大きな影響はないとの見方が大半です。日本の上限は6,800トンとなりますが、2010~2012年の平均漁獲量は6,100トンです。2010年を起点として過去15年間で、産卵が可能なクロマグロは1/3以下に減少していると言われており(図)、漁獲が近年より多かった2002~2004年の数字からの15%の減少なので、管理をして減らしてきたというより、単に獲れなくなってきたというのが実情かと思えます。
WCPFCの科学委員会(ISC)は、8/9に今のままクロマグロを獲り続けると、マグロの資源量がこれまでの最低レベルを下回るという報告書を公表しています。幼魚(0~3歳)の漁業規制を各国に勧告しており、来年にも厳しいルールが漁業者に課せられる可能性が高まってきました。新たに生まれてくるマグロが減少しており、2010年の資源量は2万3000トンにまで減少しています。このままでは過去最低の1984年に記録した1万8000トンを割リこむ可能性が出てきています。同海域での漁獲の8割を日本が占め、そのほとんどが子供のマグロなのです。(図)。
一方、地中海を含む東部大西洋、大西洋マグロ類保存委員会(ICCAT)では、2010年に30kg未満のクロマグロの漁獲を禁じました。そしてTAC(漁獲枠)を前年比4割削減(22,000トン→13,500トン)としました。その後、TACは12,900トンまで減少しましたが、2013年には10年ぶりに増加し13,400トンとなりました。今後、保存措置が着実に実施され、資源回復計画の最終年である2022年までに資源回復結果が出た場合、4万トンにも上るTACが設定できるといわれているそうです。東部大西洋のクロマグロは、EU、モロッコ、チェニジア、日本、リビア等、全16カ国に漁獲枠が割り振られています。これだけの国の利害が絡んでいるにもかかわらず、資源管理は確実に実行され、結果が出始めているのです。