世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年10月9日

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 台湾の華僑委員会諮問委員のKent Wangが、中台平和協定を調印することを主張した論説を、9月5日付でThe Diplomat誌に寄稿しています。

 すなわち、中台関係は、過去60年で最も良好であり、馬が大統領であるうちに、習との間で、和平交渉についての議論が進展する機会があるであろう。

 平和協定調印のためには、中台は「一つの中国」の正確な定義について交渉しなければならず、両岸が一つの中国を認めつつその解釈をそれぞれに委ねた「1992年合意」よりも明確なものがなければならない。さらに、平和協定には台湾が独立宣言をしないという誓約と、中国が台湾に武力行使しないという宣言が必要であろう。

 2008年5月に馬英九が総統に就任し、1992年合意に基づいて両岸関係の暫定的な枠組みを提案した。馬は、一方的に対中関係を改善する政策をとった。2012年に馬は再選されたが、選挙期間中、馬は「黄金の十年」というビジョンを繰り返し、このビジョンの一部として、両岸の平和協定についての条件付きの議論と交渉を提案した。提案は大いに注意を引いた。

 如何なる交渉をするにしても、両岸の平和協定が何であるか理解するのが第一である。枠組みについての幅広い合意が必要なだけでなく、実施についての注意も必要である。平和協定は、過去の不満に対処し、安全保障を提供し、和解を促進し、信頼を構築し、関係を正常化しなければならない。各プロセスは複雑である。両岸の平和協定は、一朝一夕に出来るものではない。

 さらに、平和協定は暫定的な解決に過ぎない。平和協定は、将来の再統一の可能性を示すかもしれないが、それ自体は再統一ではなく、双方がまだ統一されていないという政治的関係を表すものである。平和協定は、再統一のペースや程度を弱め、再統一を遅らせさえするかもしれない。それが台湾の望むところであるならば、両岸の平和協定は、役に立つと言えよう。

 台湾の独立は、既に実行可能ではない。しかし、台湾は、独立に反対するだけでなく、平和協定が調印される際には、一つの中国の枠組みを、新たに定義し解釈しなければならない。これは、台湾の利益であるだけでなく、両岸で共有される共通の文明にとっての利益でもある。

 馬は、「10年以内に中国との平和協定が調印されるべきか慎重に検討するが、それには国内の強力な支持が必要である」と言っている。馬が、台湾と中国との間で、今後10年のうちに協定が結ばれるべきであると真剣に考えているのであれば、国民投票を始めるべきである。それはおそらく通るであろう。国民投票で認められれば、台北と北京は平和協定について交渉することができる。

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