解体 ロシア外交

2013年10月7日

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 最近、北極海を巡る議論がかまびすしい。

 事の発端は、温暖化にありそうだ。温暖化は世界的な現象であるが、北極海では、海氷の減少など、様々な異変が如実に現れており、またそのことが資源や輸送路の争奪戦といった新たな国際間摩擦の火種となっている。その動きの中で特に目立った動きを見せている国がロシアである。

 今年2月、プーチン大統領は、ロシアの北極海の権益が他国に脅かされていると発表し、軍事的対応を強化することを示唆した。それを受けて、9月16日には、北極海航路の巡視を強化するため、1993年に閉鎖していた北極海のノボシビルスク諸島のソ連時代に建設された軍事基地を、20年ぶりに復活させ、軍隊を常駐させる方針を発表したのだ。既に同月12日、軍艦10隻が同地に到着したことも明らかにした。

 大統領は、一度閉鎖した軍基地を再開させる理由として、同地の重要性が再び増したことを強調した上で、北極海航路の安全と作業効率を保証し、ロシアの領海であるこの一帯を効果的に開発・管理する重要性を掲げ、そのために、非常時対象や地質学者、気象専門家と共同作業を行なうことも強調した。また空港の整備も進められており、10月から軍用機が発着できる予定だという。

加熱する北方航路を巡る利権の争奪戦

 温暖化による北極海の変化は諸外国の利害が交錯する諸問題にも影響を及ぼす。

 第一に、北極海航路が利用しやすくなったということがある。北極海航路とは、ベーリング海峡とロシア沿岸の北極海を通り、東アジアと欧州北部を最短距離で結ぶ航路である。かつて、ソ連は軍事上の理由からも北極海航路を積極的に開発したが、ソ連解体後の混乱を受け、当地の軍事基地も1993年に閉鎖され、同航路は衰退してしまっていた。

 現在は、国連海洋法条約に基づき、ロシアが安全や環境保護の観点から航行許可を出している状態だ。さらに、ロシアは同航路を通る全ての船舶にロシアの砕氷船によるエスコートを義務付けており、北極海航路は事実上、ロシアのコントロール下にあると言って良い。

人工衛星がとらえた融解最小時期の北極海氷分布
(左:1979年、中央:2007年、右:2011年)
出典:http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2011/tp110920.html
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