2024年5月20日(月)

勝負の分かれ目

2023年12月6日

 プロボクシングWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者井上尚弥選手が12月26日、東京・有明アリーナでWBAスーパー、IBF世界同級王者マーロン・タパレス選手(フィリピン)との4団体王座統一戦に臨む。昨年12月に史上9人目となる4団体王座統一をバンタム級で成し遂げた「モンスター」がさらなる快挙へと挑む大一番。今回のタイトルマッチは、NTTドコモ(以下、ドコモ)の映像配信サービス「Lemino(レミノ)」で独占無料生配信される。

井上尚弥選手(中央)の4団体王座統一戦を発表するNTTドコモの前田義晃副社長(左)。日本での大一番はNTTドコモと「モンスター」の相乗効果が結実した(Wedge)

 ライブ性というスポーツ最大の魅力を最大限に活かすボクシングコンテンツ、とりわけ過去に劇的KO勝利を積み重ねてきた井上選手の配信には、レミノも新ユーザー獲得とコンテンツ充実への大きな期待を抱く。「モンスター」と「レミノ」の親和性を探った。

動画配信の波に乗れたモンスター

 10月25日。WBC、WBOの2つの世界ベルトを持つ井上選手は、WBA、IBF世界王者の難敵・タパレス選手との一戦が発表された。

 井上選手は横浜市内で行われた会見で「ものすごくでかい試合になる。圧倒的な強さを見せて勝ちたい。ノックアウトでの決着を見せたい」と決意を述べた。このとき、会見後の報道陣による囲み取材で、井上選手は当日のライブ中継についてこう話した。

 「(動画)配信の時代において、日本に(需要の)マーケットがあることで、今回の試合も実現することができた。時代の変化に乗れているのかなと思う」

 かつてのボクシングは、地上波中継が主流だった。動画配信への移行が顕著となったのはここ数年である。井上選手がバンタム級で4団体統一を果たした昨年12月の一戦は、「NTTドコモ Presents PXB WORLD SPIRITS WBA・WBC・IBF・WBO 世界バンタム級王座統一戦 井上尚弥 vs ポール・バトラー」と銘打たれ、「レミノ」の前身である映像配信サービス「dTV」が独占生配信した。そして、階級をスーパーバンタム級に上げて臨んだ7月のスティーブン・フルトン(米国)との世界タイトルマットは4月からスタートした「レミノ」がライブ配信を行った。

 フルトン戦が行われた7月、「レミノ」の視聴ユーザー数は500万件に達した。この月にはサッカーで欧州屈指の人気クラブ、パリ・サンジェルマンのジャパンツアー配信などもあったが、ドコモの田中智則・映像サービス部長は11月下旬の取材で「井上選手の試合が好評だったのは間違いない」と振り返った。


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